陰陽師「安倍晴明」の正体(最終回)[ライバル蘆屋道満] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 どの物語にも敵(かたき)役がいるように安倍晴明の物語にも敵役が登場します。

 

 蘆屋道満(あしやどうまん)です。

 

 江戸時代の『安倍晴明物語』に登場する播磨国出身の陰陽師です。

 

 晴明が秘蔵する奥義書をわがものにするために偽って晴明の弟子になり、奥義書を奪うどころか、晴明の命さえ奪ってしまうという人物です。
 

 しかし、晴明が唐留学の際に師事した僧がそのことを知り、日本に渡って秘術を使い、晴明を復活させます。

 

 ほかにも江戸時代の作品で清明と道満は互いに争い、その術を競うことにになります。

 

 それでは道満は実在の人物なのでしょうか。

 

 晴明と同じ時代に道満という名の陰陽師がいたことは確認できます。

 

 ただし、実際に2人がライバル関係にあったかどうかはわかりません。

 

 いずれにせよ、敵役まで登場して晴明が伝説化する背景には、彼が「陰陽の達者」などといわれたため、師匠筋である賀茂家への対抗意識から、安倍家(土御門家)の連中が晴明の実像をより大きく見せようとしたのは間違いないでしょう。

 

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