のちに明治元年(1868)となる年の4月3日、流山(千葉県)に駐屯していた近藤勇率いる新選組は、200名以上の隊士を擁しながら、日光街道の越谷宿(埼玉県)まで進軍してきた新政府軍の斥候隊に急襲されるや、ほとんど戦わずに恭順の意を示しました。
助命されると思っていた勇は出頭に応じますが、坂本龍馬を新選組に殺されたと勘違いしていた土佐藩出身の谷干城らが強硬に処刑を主張し、新政府軍の本営(中山道板橋宿)に送られ、25日に斬首されてしまいます。
京で攘夷志士を震え上がらせた新選組局長の最後としてはあっけない最期でした。
しかも、新選組と決別した元隊士の永倉新八によりますと、幕府から甲府で10万石の大名になることを約束された勇がそれに失敗し、そのことを無念に思った彼が江戸にいったんもどった後、あらためて甲府城を攻め取ろうとしたといいます。
流山進軍の目的が大名になりたいという私欲だとするなら晩節を汚したともいえるでしょう。
以上の解釈でいいのでしょうか。
あらためて当時の勇の心中を察してみようと思います。
(つづく)
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