「この世をば わが世とぞ思う 望月の」
藤原道長が絶頂期に詠んだとされる有名な和歌(上の句)です。
その道長全盛期の1世紀半ほど前に、やはりわが身の栄華を歌に託した公卿がいました。
藤原良房です。
娘が清和天皇に嫁ぎ、皇族を除き、臣下として初めて摂政になった人物として高校の教科書に登場します。
藤原不比等(前号で詳述)を藤原摂関家の事実上の始祖とすると、良房は道長につながる一族の栄華の礎を築いたといえるでしょう。
その良房は伴(大伴)氏をはじめとする古代の有力氏族を排斥して藤原氏の政治的地位を高めたとされてきましたが、最近の研究で濡れ衣であった可能性が高くなってきています。
それでは彼はどうやって権力を掌握していったのでしょう。
古代史の謎の一つとされる「応天門の変」の真相を探りながら検証してみましょう。
(つづく)
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