『光る君へ』の時代に繋がる摂関家の謎(弐)「藤原鎌不比等」の謎①[本当の名は史(ふひと)] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

跡部蛮の「おもしろ歴史学」

歴史ファンの皆さんとともに歴史ミステリーにチャレンジし、その謎を解き明かすページです(無断転載禁止)

 藤原不比等は、日本最古の法律・大宝律令制定の中心人物です。

 

 右大臣として平城京(奈良市)遷都を主導した政治家でもあります。

 

 以上、彼が「古代国家ニッポン」を創った男の一人といわれるゆえんです。

 

 その不比等は、斉明天皇4年(658)に藤原鎌足(前号で詳述)の次男として生まれました。

 

 しかし、彼が史料にその名を現すのは32歳のとき。

 

 『日本書紀』によりますと、持統天皇3年(689)2月14日に任命された判事(裁判官)の一人に「藤原朝臣史」の名がみえます。

 

 ここからは、「史」で「ふひと」と読み、もともとの彼の名が史であったことのほか、30過ぎになるまで世に埋もれた存在だった事実が浮かび上がってきます。

 

 つまり、父鎌足の政治的地盤を引き継いだとはいえず、いわば、「2代目」の恩恵にほとんど預かっていないのです。

 

 そのことはつまり、父鎌足があくまで個人的に天智天皇の信頼を得ていたに過ぎず、朝廷での政治的基盤を確立していなかったことを意味します。

 

 それでは、32歳でようやく裁判官になった不比等がどうやって朝廷で力をつけていったのでしょうか。

(つづく)

[最新刊のお知らせ]

『超新説で読みとく信長・秀吉・家康の真実』

♯塗り替えられた戦国史の謎に迫ります!

 

※「辻大悟ノベルズ」からのお知らせ

別名のペンネーム(辻大悟)で書いた小説『キンカコ 八人のワンダラー』(kindle版)をリニューアルしました。

♯現在から見たキンカコ(近過去)の2000年が舞台。貸し渋りが横行する時代に、銀行へ不渡り手形を掴ませるチンケな詐欺を働いていた美人詐欺師と彼女を追う現職の刑事。その二人に大蔵官僚や病院の名物院長らを加えたワンダラーたち。その八名が国際犯罪組織の野望を打ち砕く痛快犯罪ミステリー小説。20年後、30年後の近未来に生きている自分たちのために、いま戦え!