日本を開国させた「ペリー提督」の意外なアキレス腱②[恫喝外交] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

跡部蛮の「おもしろ歴史学」

歴史ファンの皆さんとともに歴史ミステリーにチャレンジし、その謎を解き明かすページです(無断転載禁止)

 『ペリー提督日本遠征記』によりますと、浦賀沖に停泊したペリー艦隊の旗艦「サスケハナ」艦上でアメリカが初めて幕府と交渉した際、浦賀奉行所の役人に「船を取り巻く(幕府の)番船を撤退させなければ武力で追い払う」(日本語訳を意訳=以下同)といい、役人は慌てて船上から指示を出して、番船を退かせています。

 

 ペリーはまた、外国との唯一の窓口である長崎へ回航するよう求める幕府の意思を無視し、「この地で大統領の国書を渡すつもりだから無礼は許さない」という姿勢を貫きました。

 

 2回目の交渉では、後述する香山栄左衛門という浦賀奉行所の役人が「江戸(城)へ(貴殿の来航を)報告し、訓令を仰ぎたい。それまで四日かかる」と申し出たところ、「蒸気船なら一時間で江戸まで航行できるので三日だけ待とう」と返答しました。

 

 つまり、3日以内に返答がないなら、1時間で江戸まで艦隊を進めると宣言しているのです。

 

 幕府への恫喝ととれなくはありません。

 

 さらにペリーは各艦からボートを出させ、幕府の抗議を無視して江戸湾内を測量し、海図を作成しています。

 

 このとき、江戸湾内の柴村(横浜市金沢区)まで測量していたことがわかっています。

(つづく)

 

[最新刊のお知らせ]

『超新説で読みとく信長・秀吉・家康の真実』

♯塗り替えられた戦国史の謎に迫ります!

 

※「辻大悟ノベルズ」からのお知らせ

別名のペンネーム(辻大悟)で書いた小説『キンカコ 八人のワンダラー』(kindle版)をリニューアルしました。

♯現在から見たキンカコ(近過去)の2000年が舞台。貸し渋りが横行する時代に、銀行へ不渡り手形を掴ませるチンケな詐欺を働いていた美人詐欺師と彼女を追う現職の刑事。その二人に大蔵官僚や病院の名物院長らを加えたワンダラーたち。その八名が国際犯罪組織の野望を打ち砕く痛快犯罪ミステリー小説。20年後、30年後の近未来に生きている自分たちのために、いま戦え!