フロイスと信長が会見したのは、信長が15代将軍に就いた足利義昭のために普請している二条城の工事現場でした。
普請を監督していた信長がフロイスを遠方から見かけると、堀端の上に立って彼が来るのを待っていたというのです。
そのときの情景をフロイスはこう記しています。
「彼(信長)は、司祭(フロイス)を呼び、橋上の板に腰をかけ、陽があたるから(帽子を)かぶるようにと言った」(『日本史』)
こうして信長はゆったりした気分でそこに留まり、約二時間にわたり、フロイスと話すのです。
このとき信長は、
「年はいくつか」
「ポルトガルやインドから日本に来るのにどのくらいかかるか」
「この国でデウスの教えが広まらなかったらまたインドへ帰るのか」
などと矢継ぎ早に質問してきたといいます。
フロイスはこの後、何度も信長に会い、彼が岐阜城(当時の信長の居城)を訪ねた際には、信長自身がフロイスの膳を運んでくる接待を受け、そうした際の観察眼、かつ、信長に近侍していた者からの情報で、記事冒頭の人物描写(第1回参照)を書き残すことになります。
(つづく)
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