明智光秀「三日天下」の謎②[ポスト信長への戦略] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

跡部蛮の「おもしろ歴史学」

歴史ファンの皆さんとともに歴史ミステリーにチャレンジし、その謎を解き明かすページです(無断転載禁止)

 信長が光秀に討たれた直後、明智軍と山岡軍が琵琶湖で船合戦していたことが新史料に記載されていたのです。

 

 どうして船合戦が光秀の天下にかかわってくるのでしょうか。

 

 順序立ててみていきましょう。

 

 光秀は信長を討った後、すぐさま、信長の天下布武の象徴でもあった壮麗な安土城を接収し、天下に号令しようとしました。

 

 信長の城に入らなければ、朝廷も世間も光秀を「ポスト信長」と認めてくれないからです。

 

 その戦略にもとづき、信長を討った明智軍は、早々と京を発ち、真っ先に安土城接収のため、まず近江の瀬田へむかいます。

 

 瀬田には有名な「唐橋」が架けられています。

 

 琵琶湖から流れ出る瀬田川にかかるのはこの橋だけ。

 

 安土へむかうにはここを通るしかありません。

 

 ところが、『信長公記』によりますと、光秀が「(瀬田城の)山岡美作(景隆)・山岡対馬(景佐)兄弟」に「人質出だし、明智と同心仕り候へ」と申し入れたところ、山岡兄弟は「信長公御厚恩浅からず」という理由をあげ、瀬田の唐橋を焼き落とし、居城に火を懸けて甲賀山中の山中城へ退去してしまいました。

 

 光秀と山岡兄弟は、景隆の妹を光秀の長男光慶の嫁に迎えようとする関係で、つまり、親戚になる予定の武将だっただけに光秀は驚きました。

 

 そこで光秀は……。

(つづく)

 

【以下お知らせ】

辻大悟のペンネームで歴史小説を書いております。

既刊本『信長の笑み、光秀の涙』(双葉文庫)

※このほど初めて現代を舞台にしたミステリー

『小説 キンカコ 八人のワンダラー』

(kindle版)を刊行いたしました。

現在から見たキンカコ(近過去)の2000年が舞台。

貸し渋りが横行する時代に、

銀行へ不渡り手形を掴ませるチンケな詐欺を働いていた美人詐欺師

その彼女を追う現職の刑事。

そんな二人に大蔵官僚や病院の名物院長らを加えたワンダラーたち。

その八名が国際犯罪組織の野望を打ち砕く痛快犯罪ミステリー小説。

20年後、30年後の近未来に生きている自分たちのために、いま戦え!