観た、『デューン/砂の惑星』 | Joon's blog

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支離滅裂

『デューン/砂の惑星』を観ました。

 

西暦10191年。宇宙は皇帝シャダム4世により支配されていた。

その下でアトレイデス家とハルコネン家は、貴重な資源である香料=メランジが採れる唯一の惑星アラキスの採掘権を巡って対立していた。

香料を流通させるギルドより、アトレイデス家の嫡男ポールの暗殺を命じられたシャダムはハルコネンと結託。アラキスの採掘権をアトレイデス家に譲渡したと見せかけ、ハルコネン家に襲わせる。

父を殺され、身内に裏切られたポールは母と共に砂漠に投げ出される。ポールらはハルコネンを共通の敵とする先住民フレメンたちと出会い、やがて伝説の存在クイザッツ・ハデラッハとして覚醒する……といったお話。

要約すると、父を殺された公爵の息子が敵対する男爵家への復讐を果たそうとする話です。

 

どうも本作の名を挙げると“失敗作”というワードが付きまとうものの、“駄作”と呼ばれる事はあまりないようです。

つまりカルト映画なんでしょうね(笑)。

宇宙を舞台にしたドンパチ劇と言えば真っ先に『スター・ウォーズ』が挙がるだけでなく、それを発端とした作品はゴマンと存在していますが、その中においても割と秀作だと思います。

 

ずいぶん久々に観たんですが……こんな話だったっけ?みたいな(笑)。

もっとドンパチが多い話だと思ってたんですが、アトレイデスとハルコネンの両家のゴタゴタ=ストーリーの発端ともなるべき部分が長く、主人公であるはずのポールは前半では完全に脇役です(笑)。

ポールが砂漠に投げ出されて後半に入ると、そこから残りの尺で皇帝を倒さなければならないものだからか、お話の動き方が早くなります。

どうも前半と後半とで時間配分がアンバランスに見えるんですよね。

色々と分からない点も少なくないし、2部作にした方が良かったんじゃないかな? ギルドの長だか何だか、水槽に入ってる偉そうなアレ(星すら作れちゃうの?)の正体が気になったのでね。

 

未来の宇宙を舞台にしたSFでありながら、アール・デコっていうのかな、昔の欧米の様式を模したようなプロダクションデザインが秀逸です。

四方を銀色の壁に囲まれるようなありふれたSF観ではない、レトロな装飾を取り入れているのが見た目を楽しませます。あまり機能的に見えない宇宙船のデザインとかもね。

あと、格闘時に使うシールドも斬新です。いかにも古い特撮で、一見するとナンダコリャ感が半端じゃないけど、本作でしか見れない無二の表現だと思います。

 

本作は随所で会話の途中にモノローグを入れるという、映画として変わった手法を採っています。

例えば嫌な上司に無茶苦茶な事を言われた部下が「はい、分かりました」と言いつつ、心の中では“何言ってんだコイツ”と思ったとして、そんなモノローグを会話の真っ最中にブッ込んでくるんですが、それは会話を終えてから、もしくはなくていいでしょと。

これ、けっこうな違和感を抱くんですよね。

原作に近付けようとする配慮から来る説明ゼリフなんでしょうが、むしろ邪魔にすら感じます。

『ブレードランナー ディレクターズカット版』よろしく、モノローグを排したバージョン作ってくれ…。

 

時々出てくるベネ・ゲセリットというのは、女限定ジェダイと言い換えて良さそうなものだと思い込んだ上での話ですが、かつてはその道女だった母ジェシカやポールも使える、“声[ボイス]”という超能力があり、特殊な声で相手を服従させる技です。

ポールとジェシカがフレメンに拾われた際、これを併用して武器の威力を高めるという描写もありました。まぁ、70年代のロボットアニメみたいなモンですね(笑)。

そんな“声”の使い手として、ポールの妹アリアの存在感がなかなか強烈です。

まだ年端も行かない子供ながら、フレメンからの使節として皇帝シャダムに謁見し、いざとなれば“声”を使って従わせるシーンはゾクッとします。

 

1984年の作品という事で古い作品ではあるんですが、そう感じさせるのは画面自体の雰囲気だけではなく、パトリック・スチュワートさんに髪がある事がそんな考えをより強くさせます(笑)。

 

 

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Blu-ray版は劇場版本編と、テレビ放映用に編集された長尺版や証言を集めた特典ディスクの2枚組。

長尺版を見たがるマニアの足元を見たトンデモ価格設定、かつ劇場版のみの商品は発売しない嫌らしさにウンザリです。

その長尺版も当時のテレビ放送向け故に画角は4:3にトリミングされ、リマスター作業はしたらしいけど画質はDVD並み。吹き替え音声もないんだから、少なくともお得感はありません。余興や参考に使う程度のものですかね。

2種の吹替版音声を収録させるのも値段の高騰に繋がっているように見えます。吹き替えバカたちって、知識自慢をしたいがためにグシャグシャ騒ぐ人種だからなー。

 

吹き替えと言えば、もちろんのごとく(?)本作にも大塚芳忠さんが参加しています。

担当しているのはスティングさん演じるフェイドで、偶然だか狙っていたんだかは知りませんが、これが実にナイスキャスティングでね。

というのも、『機動戦士Zガンダム』で芳忠さんが演じるヤザン・ゲーブルはスティングさんをモデルにしているというのは当時から聞こえた話で、本作におけるフェイドのルックスや性格、しかも野獣とすら呼ばれちゃうキャラを芳忠さんが演じるんだから……これは熱いでしょ! 出番は少ないけど…。