観た、『続・夕陽のガンマン』 | Joon's blog

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『続・夕陽のガンマン』を観ました。

 

南北戦争の時代。

ブロンディーはお尋ね者のトゥーコを捕らえて賞金を得る。街の法により首吊りに処される直前、何故かブロンディーはトゥーコを救い出す……実は二人は初めからグルで、この芝居で賞金を荒稼ぎしていたのだ。

そんな二人の関係に亀裂が生じている時、南軍の馬車が通りかかる。そこに乗っていた瀕死の兵士は、ある場所に20万ドルを隠したという。トゥーコは墓地の名を、ブロンディーは墓標の名を聞き出すが、大金を独り占めするための秘密として二人は頑なに口を割らない。

一方、20万ドルの噂を追っているエンジェルが二人と合流。お互いを出し抜こうとする3人のうち、最後に大金を手にするのは誰なのか……といったお話。

要約すると、3人のガンマンが大金を手にしようとする話です。

 

”続”と冠しているので『夕陽のガンマン』の続編に思われがちですが、一部のスタッフ&キャストが再結集しただけ、かつ日本の配給会社によるテキトーな邦題なので、正式な続編ではありません。

まぁ、やってる事は似たり寄ったりなので(笑)、続編だと言い張れる説得力はあるんだけど。

作品上ではどれも無関係ながら、『夕陽のガンマン』と『荒野の用心棒』は関連作として見知りしておくといいと思います。

 

ストーリー自体はあっさりしているものの、なんと尺は178分=ほぼ3時間という大長編作品です。

それ故か、時間の使い方が贅沢なんですよね。映画的な“間”をたっぷり使うだけでなく、そんなにカット数を増やしたり長回ししちゃう?みたいな。

それでも退屈しないのは主役の3人=ブロンディー、トゥーコ、エンジェルが個性的で面白いからです。

常に打算的で抜け目のないエンジェル。

腕はあるけどあと少しのところで間が抜けてるトゥーコ。

スゴ腕ながら、何を考えてるのか分からない(笑)ブロンディー。

総じてあくどい役ではあるけど、どこか憎めない愛すべきキャラたちです。

 

尺が長くなる一因となっているのは、時代背景にもなっている南北戦争要素が強すぎるからじゃないかと。

終盤、橋を巡る北軍と南軍の戦闘とか、正~直、なくても良かったんじゃないかな。

このシークエンスを見ると、実はブロンディーにも優しさや慈悲の心がある事が伺えますが、ブロンディーが”いい人”っていうのは、そういう意味とは違うじゃないですか。

何を考えているのか分からない、飄々とした雰囲気をまとっているのがブロンディーのアイデンティティだと思うのでね。

なので、ああいうヒーローっぽい行動に違和感を抱くのは否めません。つーか、二人の怪しい行動に気付けないのか、北軍兵士よ…。

 

偶然にも里帰りしたトゥーコは、兄パブロと再会。しかし、パブロは親不孝や放蕩の限りを尽くしたトゥーコを突き放します。

そんな兄弟のやり取りを陰で見ていながら、兄とは仲が良いとうそぶくトゥーコの話を水を差さずに聞いてやるブロンディー。

このシーンにより、トゥーコにも同情できるところがあり、ブロンディーにも僅かながらの情がある事が伺える、本作の白眉たるシーンです。

 

あとは随所にあるコメディ要素も面白いんですよ。

トゥーコのボケにブロンディーがツッコむ図式が笑えます。

「神様もマヌケは嫌いだよ」と「お前宛てだ」のシーンは、もはやコント感すら漂います。

 

そうそう、南北戦争と言えば、最低限の情報として

 北軍→

 南軍→灰色

という軍服の色を覚えておくと分かりやすいと思います。俺ッチはこの程度で混乱してしまったのでね。 

 

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↑のBlu-ray版は、かつてフォックスから出ていたものが廃盤になったようなので、新版として発売されたものです。こっちのジャケットの方がカッコ良いよ、羨ましい。

吹き替え音声はあるけど、映像特典はフォックス版とはちょっと違うみたい。

 

余談ながら、今回は吹替版で鑑賞。

テレビ放送用にカットされていた部分を補完した“完声版”という仕様で収録されていて、納谷悟朗さんや大塚周夫さんがウン十年ぶりの同じ役を再演しています。

…が、特に納谷さんに関してはジイちゃん声すぎて、オリジナルと新録した部分のギャップが半端じゃありません(大塚さんはどうにかセーフ)。

アニメも含めた吹き替えバカたちは、どんだけスパンがあろうが再び本人が同じ役を担当する事に大喜びするんだけど、違和感ないの?と。

まぁ、そんな事を言うのは、いつまでも原体験の感動にしがみついて、これを汚されるのが許せない年寄りなんでしょうがね。

洋画における吹き替えは余興くらいにしか考えていない俺ッチ、もしくは、その辺の文化に興味を持たない第三者としての客観的な意見としてはそんなもんじゃない?

 

それにしても、初代『ルパン三世』のキャスティングってスゲー贅沢だったんだなぁ…!