観た、『グラン・プリ』 | Joon's blog

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『グラン・プリ』を観ました。

 

モナコを皮切りに今年もF1のシーズンが到来。

マシンの不調から事故を起こしただけでなく、第2ドライバーのストダードを巻き込み重傷を負わせてしまったアロンは所属するBRMを解雇される。

一方でベテランドライバーのサルティや、二輪から四輪に転身したニノを抱えるフェラーリは盤石の体制だ。

ヤムラのオーナーにスカウトされたアロンは第3ドライバーながらもレースに復帰、ストダードもまた負傷が癒えないまま再起に臨む。

抜きつ抜かれつ、熾烈なトップ争いを続ける4人。チャンピオンを目指し、いよいよイタリアでの最終戦の日を迎える……といったお話。

 

俺ッチは『フレンチ・コネクション2』と『RONIN』くらいしか観ていませんが、それらを監督したジョン・フランケンハイマーさんの手腕に感銘を受けてね。

両作ともかなり面白く、特に『RONIN』でのカーチェイスの迫力は圧倒的で、本作も車を題材にしているという共通点があるので興味を持って鑑賞に臨んだ次第。

 

で、観終えた感想としては、やっぱり面白かったです。

尺は176分=約3時間、しかも開始早々オーバーチュア(=開幕の序曲)があるんだから、こりゃ長い戦いになりそうだと覚悟しましたが、セルフ休憩か眠気を感じる事もなく観終えられたんだから本物ですよ。

映画としてドライバーたちのエピソードは不可欠とは言え、だからって退屈する事はありませんでした。

ドライバーたちのドラマも淡白で、あまりドラマドラマしていないんですよね。ドキュメントっぽさすら感じます。

主に描かれるのはトップを争うアロン、サルティ、ストダード、ニノの4人ですが、誰がチャンピオンになっても不思議ではない雰囲気があるので、どんな番狂わせが起きるのかとハラハラします。

 

で、一番の見どころになるF1のレースシーンはと言えば、思った以上に良かったどころか、1966年の作品である事を考えると画ヂカラが強すぎます。

実際にスピードが出てるだけでなく、車載カメラによる主観映像は迫力満点。これは劇場の大画面に相応しい!

今ではテレビゲームでレースゲームは多々出回っていて、本物と見間違うほどの情報量がありますから、そっちを見慣れていても本作の映像で見せる空気感には迫力を感じると思います。クライマックスでのサルティに起きるアクシデント要素なんて、ゲームには皆無でしょうからね…。

古い作品だから大した事もやってないだろうと小馬鹿にするつもりで見る方が驚けますよ。

 

そんな陰の主役であるF1マシン群。

本作は1966年の作品という事で、やっぱり車の見た目も古っちぃんですよね。ウインナーパンみたいでカッコ悪いし(笑)。

が、実際に走っているのを見るとどんどんカッコ良く見えてくるんだから、まさに映画の力だよね。

ウイング類など一切なく、メカが多分に露出したバイクの延長線上にあるようなデザインは野性味すら感じます。あくまで人間が体を張る原始的な競争というかね。

車をフィーチャーした映画は見た目の美しさばかりを追求したがるものですが、車を構成するよく分かんねー部品がカチャカチャ動くとことかを見せるあたりは、メカ好きにも見逃せないポイントですね。

 

レースシーンはスピード感だけではなく、俳優本人が運転している(ようにしか見えない)点にも迫力を感じます。

カット割りでごまかすような姑息な真似もしないし、チャチな模型を使っての特撮もないので、本当に本物感があるというかドキュメントっぽいんですよ。

主演の4人のうち、一人だけ真っ黒ゴーグル&マスクで顔を見せないのがチト興醒めでしたが…(笑)。

ちなみに、常勝のベテランドライバーであるサルティを演じるのはイブ・モンタンさん。

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さすが昔取った杵柄、サルティはニトログリセリンを積んだトラックの運搬をした経験があったんだろうね(←なら、なぜ生きてる…)。

 

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Blu-ray版は映像特典が多め。

ジェームズ・ガーナーさんやエバ・マリー・セイントさんらが本作、かつフランケンハイマーさんを回顧するメイキングはいいですね。ガーナーさんが撮影に協力してくれない現地人を怒鳴りつける映像は、色んな意味で貴重です。