観た、『フレンチ・コネクション2』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

前作の面白さにやられ、熱が冷める間もなく続編の『フレンチ・コネクション2』を観ました。

 

麻薬王シャルニエを追い、本拠であるマルセイユにまでやって来たポパイ=ドイル。

しかし、地元警察の協力を得られるはずが、唯一英語が喋れる刑事のバルテルミーとも反りが合わず、よそ者扱いまでされる始末。思うような捜査ができずにドイルは焦りや苛立ちを隠せない。

一方、新たな取引や麻薬の精製に忙しいシャルニエは、かつてニューヨークで煮え湯を飲まされたドイルの姿を目の当たりにする。シャルニエの手下に捕まったドイルは監禁され、麻薬を投与され続ける。

解放されたものの、すっかり薬漬けの身体になってしまったドイルは禁断症状が現れ始め、バルテルミーはこれを克服させようとするが……といったお話。

 

実話を基にしていたという前作に対し、映画としての続編である今作にはそんな話はあまり聞こえません。完全オリジナルのフィクションなのかな?

前作はリアリティを感じさせるドキュドラマっぽい体で作られていましたが、監督がウィリアム・フリードキンさんからジョン・フランケンハイマーさんに代わり、クラウディ(を演じたロイ・シャイダーさん)も出ないという事で、ヒットした前作にあやかった安直な続編なのかなと思いきや、こちらもなかなかの良作。

媚びたエンタメ要素も皆無に等しく(逆を言うと、それだけ地味)、“『フレンチ・コネクション』の正統な続編”であると胸を張っていい作品だと思います。

余談ながら、今作では“ポパイ”より“ドイル”と呼ぶ方がしっくり来るように感じます。

 

若い頃に観た際には、あまりにエンタメをしていない前作は退屈で退屈で(笑)、続編である今作の方がマシ程度にしか思っていませんでした。

今作ではドキュドラマだった前作の、ドキュメントの部分を薄めたおかげで多少ドラマチックになったという証左なのかもしれません。

そんなドラマチックな部分と言えば、本作の見どころでもある、ドイルが薬漬けになるという展開でしょう。

あれだけ麻薬を憎悪していたドイルが、敵の手で麻薬を散々打ち込まれてボロボロになっていく姿は屈辱的に思えます。拷問というより凌辱ですね。

薬物依存になった状態のハックマンさんの芝居が実にリアルだとされていますが、そんな光景が多々ある国ならではの感想ですね。あの時の一人喋りの内容の無意味さが生々しいようですが……クェンティン・タランティーノさんの作品に登場するキャラはそんな奴ばっかじゃん(笑)!

 

そんなドイルのリハビリに手を貸してやるのが、フランスの刑事であるバルテルミー。

ドイルは前作からあんな性格でしたからね、地元の仲間内でも疎まれやすい人だったのに、異国に来てもあの調子が変わらないのであれば、何だコイツと思われるのも当然。ドイルの机を便所の脇に追いやるバルテルミーの判断は、あながち間違いでもありません(笑)。

が、どんだけ嫌いな奴であっても、悪を追うという万国共通の意思を持つ警察勤めの者同士、薬漬けになったドイルを救おうととことん付き合ってやるのがいいんですね。そこから始まる男同士の熱い友情がどうとかとかダッセー事(笑)を言い出さないのも、シリーズとしての貞節を守っている感じがします。

 

バルテルミーの協力もあり、すっかり回復したドイル。

さんざんな目に遭い、もう牙が抜けてしまうかという心配なぞ無用、復帰早々にドイル怒りの大反撃が始まります。

自分が捕らわれていたホテルを突き止めたドイルは、シャルニエを引きずり出そうとガソリンをブン撒いた挙げ句、キチンと(笑)着火するんだから痛快です。

映画はこういうハチャメチャがあるからこそ面白いんだよ!

 

アメリカを脱出しフランスに戻れたシャルニエは、前作に引き続き登場します。

前作では単に麻薬ビジネスの大物として描かれていましたが、今作ではそれに加え、涼しい顔の裏に邪悪な面を隠し合わせている事が分かります。

餅は餅屋とでもいうか(?)、麻薬業者として得意の分野でいたぶった上で廃人にさせようとする発想は、まるでなぶり殺しに遭わせるようで残忍この上ない!

麻薬の取引を扱った作品は星の数ほど作られていますが、これをやらないのは意外ですね(まぁ、やったところで本作のパクりと言われるのは必定だけど)。

 

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Blu-ray版の映像特典は、ジョン・フランケンハイマーさんの思い出語りや、ジーン・ハックマンさんが本作を振り返る映像を収録。

“フレンチ・コネクション3”の話は聞こえないというハックマンさんの話にはホッとします。

 

 

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観た、『フレンチ・コネクション』

観た、『フレンチ・コネクション2』