大晦日に観る映画はにはちょっとこだわっていて、個人的に面白いと感じるのはもちろんなんだけど、割とメジャーな作品を選ぶようにしています。別に誰を気にするつもりでもないんだけどね。
って事で、2024年を締めるのは『2001年宇宙の旅』です。
有史前の類人猿から進化した人類は、宇宙への進出を果たすまでに進化を遂げていた。
評議会のフロイド博士は、月で発生した病の調査に向かう。しかし、それは世間を欺く情報で、真の目的は月で発掘された、木星に向けて謎の信号を発信する謎の石碑の調査。フロイド博士たちが調査を開始しようとすると、石碑は怪音波を発し…。
それから18か月後。ディスカバリー号はボウマンとフランク、そして最新鋭コンピューターHAL9000の管理により木星探査に向かう旅を続けていた。
ある時、船外の部品の不調を訴えるHALの言葉に従い、部品を点検してみるが故障個所はない。HALの異常を疑うボウマンとフランクはHALを強制停止しようと目論む。二人の考えを見抜いたHALは……といったお話。
ご存知、SF映画の金字塔とされる作品です。
1968年の作品ながら、半世紀以上も過ぎた今に観ても古臭さに目を覆いたくなるような画なんか皆無に等しく、レトロフューチャー感が却ってクールです。
たとえ古く見えたとしても、現実味を感じさせるプロダクションデザイン(メカも含む)が秀逸なんですよね。このまま実物を作れるんじゃない?と思わせるような。
仮にリメイクなんてバカな話があったとして、主にプロダクションデザインの改変に注力しそうですが、そこでオリジナル版が一気に色褪せる事はありません。
宇宙空間は真空ゆえ、音が聞こえないとされていますが、これを映画としてやってしまうのが斬新。それどころか、劇伴やセリフまで少ないのも反則技に近いですよね(笑)。
後に続く宇宙を舞台した作品でも、こういう事をあまりやらないのがその証左です。
時間が経てば完璧に思えない部分も散見されますが(序盤の猿とか)、それらを含めても簡単に真似できないどころか、真似をする気にもならないであろう作品です。
古今東西&老若男女、誰しもが一度は見ておくべき映画とは、こういう作品なんですよ。まぁ、見た人たち全てが明確に面白かったと言えるかどうかは別として…(笑)。
「なぁ、『2001年宇宙の旅』ってどんな映画だい?」
「人間に従順なコンピューターの反乱を描くお話だよ」
…と、未見の人に紹介するなら、こんな感じになるんでしょうね。全編を通して、映画としてドラマティックな部分と言ったら、まぁあの辺りですからねぇ。違うそうじゃねぇと言うのなら、どう言えばいいんだよと(笑)。
そんな陰の主役でもあるHALの喋りは実に独特で、たとえ英語が分からなくても印象に残ります。優しそうであり冷たそうにも感じる話し方は客観の極みで、”喋る”というより“読んでいる”ような感じがいいんですよね。
HALにしか知らされていなかったディスカバリー号の真の目的が明らかになりクライマックスに突入しますが、ここからラストまでの30分に起きる超展開は何をどう説明すればいいのやら。
何にせよ、おそらく見た人の9割はポカーンと放心状態に陥るんじゃないかと(笑)。台本にはどう書いてあったんだろうなぁ。
世の中にはこの部分に関する解説をする人も少なくないと思いますが、よくもまぁ堂々と言えちゃうよね。小説等の副読本や他人の言葉を拝借しているのがほとんどだろうけど(笑)。
あれは言葉で理解しようとするのではなく、見て感じるのが正解だと思うんだ。それ故、何コレ意味分かんねぇぇと悶々したっていいんですよ。
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Blu-ray版は映像特典満載。
主演のキア・デュリアさんとゲイリー・ロックウッドさんの音声解説はいつか聞いてみたいと思っています。出演者として、どこまで作品を理解できてるのかが気になるので(笑)。