風邪でも引いちゃったと思いきや、実はインフルエンザだったというね。そんな調子だから映画を観るどころか、“見る”気にすらなれないくらいにグッタリしてましたよ、まったく。
ようやく9割くらいは回復したので久々に映画でも観ようという事で、そこで観たのが『ブラボー!若大将』。
若大将シリーズは総じて尺が短めで、リハビリ鑑賞(?)にももってこいなんですよ。
三矢物産に勤めながらテニスの実業団の選手でもある雄一は、ライバル会社を下し優勝する。しかし、スポーツに興味のない営業部長の心無い言葉や、付き合っていた百合子が自分を差し置いて結婚したりと、雄一は心が晴れない日々が続く。
ある日、雄一は小さな会社でありながら高い技術を持つ熊井鉄鋼の熊井の話に感銘を受け、三矢物産との提携を提案する。しかし、その案は熊井鉄鋼ではない別の会社に差し替えられた上で話がまとまろうとしていた。熊井鉄鋼を蔑ろにするやり方に激怒した雄一は、勢いのまま三井物産を退職してしまう。
心機一転を図る雄一はグアムで日銭を稼ぐ生活を送っていた。雄一は自分を知っているという節子と出会う。節子は、かつて百合子へのプレゼントを買った店の店員だったのだ。
節子と過ごしながら、雄一の荒んでいた心は徐々に和らぎ、やがて二人は愛し合うようになり……といったお話。
シリーズ第15作。
得てしてワンパターンを作風とするシリーズには、パターンを崩す異色作が作られる事がままあるもので、若大将シリーズでいうところのそれは今作です。
何しろ、今作の雄一には名誉や栄光がほぼ皆無なのです。
テニスで優勝してもあまり喜ばれず、付き合っていた女性=百合子から身分の違いを理由に振られたり、挙げ句に会社を辞めてしまうという辛めの展開から始まります。
どうせ最後は上手く行くんだろう?という推測は間違いじゃありませんが、そこに行き着くまでの過程が今までより楽には行かず、雄一が挫折を味わう姿が新鮮な作品です。
ラスト3分、奇跡の大逆転はこれまでシリーズを観てきた人であっても衝撃レベルじゃないでしょうか? 今作を若大将シリーズのデビュー作とする人であれば、あまりもの強引さに度肝を抜かれると思います(笑)。
社会人編の第1作『フレッシュマン若大将』を観て、大学生時代には若大将と呼ばれ慕われていた雄一が一会社員として働く姿にショックを受ける人がいたかどうかは知りませんが、確かに雄一のキャラじゃないですよね。
理不尽に耐え兼ね辞職する姿こそ、俺たちの知っている若大将なんですよ。
どうせすぐ戻るんだろう?と想像しがちですが、そうはならず、色んな仕事を体験する上で、どんな仕事や会社にも順応できるのが雄一らしくて好きです。
予告編を見る限り、どうやら本作では2代目若大将が誕生する予定だったようです。
シリーズ開始時からすれば加山雄三さんもずいぶん歳を取り、でも若大将シリーズは終わらせたくないという製作側の希望が見え隠れしますが、この目論見は失敗に終わっていると言っても過言ではないでしょう。
2代目若大将となる大木に見せ場でも作ればあるいは化ける可能性があっただろうに、それもなく、不完全燃焼どころか火すら着いていない状態。そんな大役を与えられた大矢茂さんという方も気の毒に思えます。
シリーズ序盤の、何でもできちゃう加山さんを思い出せば2代目若大将なんて早々簡単に見つかるはずもないんですよ。
ところで……モテモテ男の雄一を振るという、シリーズ唯一の女性キャラ百合子を演じる高橋紀子さんという方、うっすら桃月なしこさんを思い出すのは俺ッチだけでしょうか?
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