『リオの若大将』を観ました。
教授の助手としてブラジルにやって来た雄一は、リオデジャネイロにある石川島ブラジル造船所の光景に興奮を隠せない。
日本食レストランで夕食の最中、胃けいれんを起こした宇野を救った事をきっかけに、雄一は旅行代理店に勤める澄子と知り合う。
帰国した雄一は大学のフェンシング部の練習をする傍ら、テレビのバンド合戦に出演。ライバル校のバンドのボーカルであり、ブラジル造船所の工場長の娘でもある江美子は徐々に雄一に惹かれて行く。
澄子との再会も束の間、雄一は再びリオに行く事に。タイミング良くリオへの出張の話が舞い込んだ澄子は雄一を見つけるが、江美子と仲良くする姿が面白くない。
澄子が宇野の孫と、雄一が江美子と結婚するとお互いに勘違いする二人は、自分の想いとは裏腹にすれ違い続け……といったお話。
若大将シリーズ第12弾。
海外ロケが続く中、今作はリオデジャネイロが舞台。
リオと言えば山のてっぺんにある腕を広げた↑のキリスト像(コルコバード像というそうな)くらいしか知らない俺ッチでしたが、その他にも風光明媚な観光名所が多々登場します。
今作では就職も内定した上に、ついに雄一も京南大学を卒業しました。
第3作=『日本一の~』でも就職が内定したものの、第4作ではシレッと大学生のままでしたが(笑)、今作では本当に卒業、つまり若大将シリーズの第1章たる大学生編は今作で終了です。
まぁ、今作の時点で加山さんは31歳、歳を取って顔つきも変わってきているし、いつまでも大学生役ってどうなの?という意見は当時にもあったんでしょうが、個人的には特に何も感じないどころか、もう少し大学生のままでもいいんじゃない?と思うくらい。役と俳優の実年齢がリンクしてなきゃいけない理由もないんだしね。
シリーズ序盤の青大将なんて1ミリも大学生感がなかったんだから、そんなのは些末な問題です(笑)。
そして、澄ちゃんこと星由里子さんも今作でシリーズ卒業です。
今作くらいになるとキャリアウーマン感も含め、ずいぶんと大人っぽくなりました。髪も明るくしたりね。
それを反映しているわけではないだろうけど、特に青大将のいなし方が手慣れすぎてね。青大将の誘いを断り切れなかったのももう古い話で、今や雄一以外の人と付き合う時間はスパッと切り捨てるくらい。
ただ、雄一が他の女性と仲良くしているとあからさまにムッとするような、独占欲の強さだけは一貫しています(笑)。
そんな澄子がやきもちを焼くのが、雄一が就職したい造船所のリーダーの娘、かつバンドのボーカルである江美子。若かりし頃の中尾ミエさんが歌も披露している上に、明るく健康的な役を好演しているのも見どころです。
ワンパターン映画なので(笑)ラストでは雄一と結ばれるのが約束されていますが、音楽を嗜む今作の江美子やマリンスポーツに長けた第10作=『南太平洋の若大将』の美奈子あたりは雄一と共通の趣味を持っている時点で澄ちゃんにとってはかなり手強いライバルなんですよね。むしろ、こっちの方がお似合いじゃん!と思うくらい。
クライマックス、雄一がフェンシングの試合に勝利し、あとは歌って終わるのを待つのみ(笑)と思いきや、そこに至るまでにひと波乱あるのが新鮮です。
やっぱり澄子が好きなのは雄一だと知った青大将はガッカリ……で終わらず、恋に破れた青大将が自暴自棄になり車を暴走させるという、若大将ワールドとしてはずいぶんハードな展開です。
が、そこまでやってもパターン打破は敵わず(笑)、まぁいつもと似たオチで終わるのはホッとします。
普段と変わらない雰囲気を守る事によって、我々がその世界の住人として入り込めるのがワンパターン映画の良いところです。意表を付くような衝撃の展開に生じるハラハラ&ドキドキがないのって、安心して観ていられるという意味でもありますからね。
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