『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON!プロミス・ザ・サーキット』を観てきました。
ハシリヤンに狙われていた少女を救った爆上戦隊ブンブンジャー。
少女の正体は、ハシリヤンの侵略を受けた惑星トリクルの王女ニコーラ。国王の命により星を脱出、地球まで逃げ延びてきたという。
そんなニコーラを追ってきたハシリヤンの捕物隊長デイモンサンダーは、惑星大破壊大ミサイルを地球に向ける。デイモンサンダーの要求を飲み、ニコーラを引き渡そうとするISA=国際宇宙対策機構の決定に納得できない調[シラベ]はブンブンジャーに協力を要請。ニコーラと地球を守るため、ブンブンジャーはデイモンサンダーに挑む……といったお話。
この世とはかけ離れた場所からやって来た、やんごとなき地位にある女子(多くは姫)を救うお話という事で、ひと昔ふた昔前のTHEスーパー戦隊の夏映画です。知っているだけでなく懐かしさを感じる人は、かなり年季の入ったスーパー戦隊ファンですね。
そんな女子を演じるのはまぁまぁ旬の女優で、本作では伊礼姫奈さんを起用しているのが個人的にツボ。
おとなしめなキャラで髪の色はサーモンピンク、エンディングではダンスも披露してくれるんだから、こりゃ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』がチラついても仕方ないでしょ(笑)。
劇場プログラムには伊礼さんのインタビューもあり、その脇にちょっとしたプロフィールがありますが、『推し武道』を載せとかないでどうすんだバカヤロー!
これと逆に、ガッカリなキャスティングと言えばHIKAKINという、いわゆるユーチューバーな人ですね。
巷ではずいぶん人気がある人のようで、劇場プログラムにあるキャストのインタビューでは共演できて光栄だと口を揃えて喜んでいますが、俺ッチの認識ではユーチューバーとは反社と紙一重の人種くらいにしか思っていないので(ユーチューバーが見出しになる数々のニュースがそれを裏付ける)チト複雑です(笑)。
あとは、マンネリの象徴ともいうべき関智一さん。
もうね、真っ先に「またかよ」という言葉しか出てきません。芝居の巧拙云々なんかより、とっくに聞き飽きてウンザリなんだよ。…あ、関さん自体に罪はないんですよ、問題なのはキャスティングするスタッフの手抜きっぷりなのです。
ちなみに、岸祐二さんもスパ戦では声優としての参加が多いですが、放送開始の時から呼んで欲しいと連絡していたようです。ご存知の通り、岸さんは車(系)戦隊OBの一人ですし、できればマッハ全開な人に次いで本編にも登場して欲しいところですがね。
ここ数年の夏映画における、巨大ロボが出ないという傾向は喜ばしいですね。
夏映画におけるスーパー戦隊映画はいつまで経っても30分前後で、残念ながら仮面ライダー映画の前座から覆る事はもうないでしょう。いや、ありません。
なら、真っ先に省くべきは大したドラマが生まれないロボ戦ですよね。いい歳こいたオモチャバカは怒るでしょうが(笑)。
まぁ本作の場合、ブンちゃんとビュンディーは巨大ロボに近い存在だし、アクションシーンにも出番があるからそれでヨシとしましょうや。
…ところで、ブンブンカー遊び(笑)に熱中するのはいいけど、ブンブンスーパーカーの立体化を熱望する大人はいないのか?と。
放送開始前に公開されたキービジュアルで一番目を引いたのはコレなんですよ。レトロ感もあってカッコイイし、プラモとして発売してくれないかなぁと。
タミヤはどことなく結びつかないし、アオシマやフジミは高くなりそうなので(笑)、ハセガワあたりが空気を読んで"光岡自動車 ロックスター"としてプラモ化してくれると嬉しいんだけどなぁ。
バットモービルあたりの延長でバンダイがブンブンスーパーカーを作ってくれるのが一番現実的かな? ボンネットは固定でエッジはキンキン&要接着剤の、ガンプラ小僧に媚びないスケールモデル、たまにはやってみない? やらないな…。
デイモンサンダーに狙われるニコーラを護ろうと奮闘するブンブンジャー。どうしてそこまで自分のために命や体を張れるのかというニコーラの問いに対するブンブンジャーの回答は、”やりたいからやる”"したいからする"、それだけです。
この手の変身ヒーロー作品=勧善懲悪モノの作風として、困ってる人を救うのは当たり前すぎる暗黙の了解なんだけど、まぁ答えになってないよね(笑)。本能的にいい人ってのは見てりゃ分かるじゃん?とも思うけど、もう少し行動原理になる思いを言葉にした方がいいと思うんですよ。
明らかに高年齢に向けた作風で複雑だった去年の("前作"とは言わない)『王様戦隊キングオージャー』に対し、今年の『爆上戦隊ブンブンジャー』は一見すると明快で分かりやすくなっているように見えますが、実はそうでもないんです。
自分のハンドルが云々ってのも婉曲的な言い方で、直感的に響きにくいと感じるんだけど、それはさておき。
未来[ミラ]は”自分のハンドル”という、迷走している自分の生き方を変えたワードを使ってニコーラを諭します。それは大也[タイヤ]の受け売りではなく、未来はとっくにこれに準じて行動=ブンブンジャーをやっているからこそ説得力がある。本作は密かに未来のフィーチャー回と言ってもいい話なんですね。
未来と言えば、本作ではニコーラを乗せてブンブンスーパーカーをガンガン走らせますが、そういえば未来って”運転屋”としてブンブンジャーになったのを忘れてたよ。何しろ、現在放送中の本編ではバイトにかまけてばかりで完全にペーパードライバー状態だし(笑)。
ところで、ブンブンジャーの面々には得意分野の肩書として"○○屋"と呼ばれますが、これは必殺シリーズから来たものなんですね。唯一、“警察屋”ってのは強引すぎな気がしますが(笑)。
毎度の繰り言ですが、相変わらず劇場プログラムは情報が濃密な上に割と安い(800円)ので、マストバイな一品です。