観た、『荒野の用心棒』 | Joon's blog

Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『荒野の用心棒』を観ました。

寂れた宿場町に流れ着いたジョー。
反目し合うロホス家とバクスター家に牛耳られるこの町では、何の関わりもない住民までもが両家の諍いに巻き込まれていた。
因縁をつけてきたバクスターの三下たちを撃ち殺した腕前を買われ、ジョーはロホス家の用心棒として雇われる。
ロホス家に付きながらもバクスター側と内通したり、どうやらジョーは両家の潰し合いが狙いのようだ。
しかし、ロホス家への裏切りを見抜かれてしまったジョーは凄惨なリンチに遭い……といったお話。

本作と言えば、黒澤明監督の『用心棒』が……という至る所で言われている話はとっくに見飽きてウンザリしているので、当ブログではその話題には触れません。
当事者どころか業界人でもないんだし、どっちも面白いならどっちでもいいじゃん?というのが極論です。

『夕陽のガンマン』と『続・夕陽のガンマン』、そして本作を合わせた3作は"ドル3部作"と呼ばれているそうです。
”3部作”と言っても、監督のセルジオ・レオーネさんと主演のクリント・イーストウッドさんによる西部劇という共通点があるのみで、これらに明確な連続性があるものではなく、関連性を感じさせるものをファンが独自の解釈でこじつけているにすぎないと思っています。『~用心棒』→『夕陽の~』→『続・夕陽の~』→『~用心棒』……と、3作がループしている説とかね。
とは言え、そういう討論=映画遊びの余地があるおかげで、後年になっても語り継がれる作品(群)になり得ているのかもしれませんね。

そんな"ドル3部作"のうちの1本として観てみると、他の2作に比べてユーモア要素がないに等しいのが意外、かつ惜しい点でした。シリアスなシーンばかりでは緊張しっぱなし、もしくは退屈してしまうものですからね。


流れ者の男=ジョー(予告編でもそう呼ばれている)が辿り付いたのは、ずいぶんと殺伐した町。
冒頭での、借金のカタに奪われた母親の下を訪れた、まだまだ年端も行かない子供に向かって威嚇ながらも銃を撃っちゃうんだから(!)、治安なんてないに等しい町です。

相対するロホス兄弟とバクスター家が町を牛耳っていると言い回されますが、これだけ聞くと両家が共にならず者の集団であるように聞こえてしまいます。バクスター家には保安官がいるので、本来ならこちらが善側の立場にあるはずなのに(笑)。

本作は流れ者としてやってきたジョーの一人称として描かれるので、中立の立場だからこそ善も悪も関係なく、端から見れば似た者同士に見えるという表れにも見えます。

そんなバクスター家に業を煮やすロホス家は最終決戦に臨みます。”決戦”と呼べるほど対等なものではなく、あまりに一方的でフェアさは微塵もありません。もはや虐殺のような真似をしながら満面の笑みを浮かべるロホス家の面々は、やっぱり悪役なんですよ。

 

手始めに悪側たるロホス家に付くジョー。この時点でアンチヒーロー風なキャラを臭わせます。

ロホス家のラモンは腹に一物あり、こんな抗争は終わりにしてバクスター家との和解を提案しますが、これを聞いたジョーはロホス家の用心棒を辞退します。

「平和は嫌いらしいな」

「知らないものを愛せるか?」

とか言いながらも、心の奥底では熱い血が流れているんだよね。母親を借金のカタに奪われた一家を救ってやったりとか。

“ドル3部作”の中では最も正義感の強い主人公なのです。


ところで、"ドル3部作"を観終えた男の子ならポンチョが欲しくなるよね(←そうか?)。
欲しくなるんだけど……これがなかなか売ってないんですよ。”ポンチョ”で探してみても、出てくるほとんどは雨合羽だし(笑)。
挙げ句にゃポンチョはダサいと言われやすい風潮もあるようですが……俺たちゃイーストウッドさんみたいな格好をしたいんだ、黙ってろバカヤロー!

 

*************

*************

…おや? 配信版はないようです。

この度↑のBlu-ray版を買って、いわゆる”ドル3部作”=『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』そして『荒野の用心棒』をようやく揃えられたんですが、これがなかなか叶わなかったのは、これはDVDの頃からの風潮として、本作だけは異常に高額なんですよ。

他の2作は廉価版も発売して実売価格1000円台で買えるのに、本作の定価は8580円というトンデモ価格! 

なかなか値崩れもしないし、3割引になったタイミングを見計らって買ったものの、それでも5800円くらいなんだから、ずいぶん躊躇いましたよ。

そんな高っけー金を払ったところで、4時間越えの特典ディスクはまだしも、思い出日記を綴りたがる年寄り連中の寄稿ばかりのブックレットとかウンザリだよ。その辺が要らなかったり、何より10年も前の商品なんだから、本編ディスクのみの廉価版を出そうとか思わないかね?

ディスクが売れない売れないと溜め息をつく前に、もう少しできる事があるだろうにさ。