『監獄ロック』を観ました。
ケンカ相手を殴り殺してしまったヴィンスは刑務所に収監される。
同室になった元カントリー歌手のハンクはヴィンスに歌の才能を見い出し、彼に音楽を教え込む。いつか二人で組もうという約束を交わし、ヴィンスは先に出所する。
さっそくヴィンスは酒場で歌を披露するも、客の反応の悪さに気落ちする。そんなヴィンスに目を付けたペギーは二人でレコード会社を立ち上げる事を発案、ヴィンスのレコードはたちまち大ヒットを飛ばす。
しかし人気者になったヴィンスは金の事ばかりを考えるようになり、ペギーだけでなく、出所したハンクも彼に愛想を尽かし始め……といったお話。
これまでの歴史上において最も知名度が高い歌手と言えば?と聞かれれば、ビートルズ、マイケル・ジャクソンさん、そして本作の主役を演じているエルヴィス・プレスリーさんを挙げる人は世界レベルで、数多く存在していると思います。
もしくは、「どんな音楽を聴いてるの?」と聞かれて、どんだけ古い曲だろうが、この人たちを挙げておけば恥ずかしい思いをしない3組ですね。
その中でも一番古いのはエルヴィスさん。本作も1957年の作品です。
…と、偉そうに語っている俺ッチですが、エルヴィスさんの曲で知ってるっつったら『ラブ・ミー・テンダー』と本作のフィーチャー曲である『監獄ロック』くらいなものです。
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今の人でも、なんとな~く聞いた事がある人も少なくないんじゃないかな?
…さて、肝心の作品に関して。
ビジネスパートナーとしてタッグを組んだヴィンスとペギーはレコード会社を設立します。
「ビジネスの関係でしかないけど所詮は男女の話だ、どうせ二人は結ばれるんだろう?」とも思いますが、これがなかなか順調に行かない。
ヴィンスはもっと上を目指す事に、正確には金を稼ぐ事ばかりに執心し、恩人でもあるペギーすら眼中に入れなくなります。
ハグ&キスをするような間柄になったんだから、ペギーだって相思相愛だと思うのも当然なのに、ヴィンスの方は何事もなかったかのよう。ペギーは虚勢を張って何の気もない素振りをしますが、ヴィンスの方はナチュラルに気にしていないんだからタチが悪い(笑)。
ヴィンスがそこに気付くまでのお話でもあるんです。
もう一人の恩人であるハンクは、今の目で見るとチト物足りないキャラに思いがちです。
とっくに大スターになったヴィンスと合流したハンクは、刑務所内で交わした分け前の取り分に関する約束を果たすため、煙たがるヴィンスに執拗に取り付き……という今風なシチュエーションを想像しますが、そこまで狡猾なキャラではありません。
ヴィンスの口添えでテレビ出演にこぎつけたものの、今やハンクの歌は古臭いものでしかなく、容赦なく出番がカットされます。
これ以来、弟分だったヴィンスとのパワーバランスは逆転、もはやヴィンスの世話役に成り下がってしまうハンクの姿は悲哀すら感じます。
…とまぁ、映画として語れるのはせいぜいこの程度で、基本的にはエルヴィスさんの、ドラマパートが多いMVという印象の作品です(ミュージカルではない)。
世代が上すぎて、その人気ぶりを知らない俺ッチにとっては、エルヴィスさんを知る機会の一つになり得ました。
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DVD版の映像特典は予告編のみ。エルヴィスさんのような大スターも吹替は要りません。
本作はプレスリー映画の一つとして有名だし、人気もありそうなのにBlu-rayにならないんですねぇ。