『バーバレラ』を観ました。
宇宙飛行士バーバレラは、地球国大統領より行方不明になった科学者デュランの捜索を命じられる。
宇宙船の故障で、不時着しながらもタウ・セティ星系第16惑星に到着したバーバレラ。
先住民の協力を得ながら、デュランは悪の都ソゴーにいるとの情報を得たバーバレラは、死の迷路で知り合った有翼人パイガーと共にソゴーに向かい……といったお話。
開幕直後、宇宙船内の無重力の中に漂う宇宙服姿の人間が現れる。
その後、少しづつ宇宙服を脱いでいくと、中身はどうやら女性である事が分かる。、ヘルメットから徐々に現れた美女こそが、我らのバーバレラ!
バーバレラのテーマソングに乗って、全ての(全てです!)宇宙服を取り去るというオープニングですが、開巻3分で掴みはオッケー!です。男の子なら特にね(笑)。
主人公名がタイトルになっている以上、そのキャラに魅力がなければ苦痛で終わってしまいそうですが、その点は問題ナッシング!
バーバレラを演じるジェーン・フォンダさんのコケティッシュな魅力は言わずもがな、レトロSF調のセクシーな衣装による七変化(コスプレ?)的な楽しみもある、むしろ、それを目当てにしていい作品です。
冒頭の無重力ストリップを終えた直後、地球国の大統領からの映像通信が入りますが、一糸纏わぬバーバレラに対し、「そのままの恰好でいいと言ってしまうのはセクハラだ!」という意見を読みましたが、それは西暦2000年代序盤=現代の感覚です。
本作の舞台は遠い遠い未来の話で、性に関して達観するようになった時代です。人類(の観念)がずいぶん進化した時代とも想像できますね。そもそも“セクハラ”なんて言葉はとっくに消滅しているでしょう。
それ故、大統領がバーバレラの裸を見たところで何も感じず、バーバレラの方も服を着ていない事が恥ずかしいというより失礼だと感じているくらい。
ただ、人間の本能だから性欲自体は消えませんが、その満たし方が実に合理的。
性欲なんてのは精神的なものだから、だいぶ遠い未来にはああいう処理方法に行き着くのかなぁ。いわゆる“レス”な人は大歓迎でしょう(笑)。
(我々が生きる現代の)セックスは古くてダサいと説くセリフがありますが、なるほど一理あると納得できる理屈です。
…って、ここで納得できる俺ッチも歳を取ったというか、枯れたなぁ…。
とは言うものの、“古いやり方”でもまんざらではないバーバレラさん。
終わった後は、満足げな表情で自分のテーマソングを歌って余韻に浸る始末(笑)。
そんなバーバレラが拷問に掛けられる際の機械や、そのオチも克明に説明しない。“セックス”という言葉もちょいちょい出るけど、濡れ場としてガッツリ見せたりしない作風は地味にスマートです。
“ちょっとしか裸が出てこないクソ映画!”とか喚き散らす子には分からないであろう、大人向けの艶笑コメディでもあるんですよね。
『COBRA』で有名な寺沢武一さんは本作の影響を受けたと言っていますが、本作を見てみれば一目瞭然です(三姉妹のジェーンは、ジェーン・フォンダさんから拝借したとも言っていましたし)。
寺沢さんの描く世界の根幹になった作品であれば見てみようと思う人も多いでしょうが、寺沢さんのそれと比べてしまうと、こちらのショボさに愕然とする覚悟が必要です(笑)。
ぶっちゃけ、と言うまでもなく、本作はチャチく見える画が多いです(その割にはB級と揶揄されているのを見る事があまりない)。とは言え、ずいぶん大きいセットを多用しているんだから、そこまでの低予算作品には見えませんがね。
CGを多用してデジタルツールに囲まれた世界を描く作品もあるし、そっちの方が現実味はありますが、本作のような古い時代に想像した未来世界、レトロフューチャーな世界を堪能したい男子にお勧めしたい作品です。
その際は、温故知新という判官贔屓をお忘れなく(笑)。本作を大真面目にツッコミを入れるのはダサいですよ。
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Blu-ray版は予告編や吹き替えすらない、ド最低限仕様です。トップメニューがあるくらいで。
余談ですが、リメイクと銘打つのはダッセーけど、こういう作品って日本でも作って欲しいんだよね、R15くらいで。
出しっ放しじゃなくても出してもOKな、衣装(の露出度)に関して制限は要らないという意味で、AVを主戦場としている女優陣が適任だと思うんだけど。
そんなベクトルに近い作風という事で、河崎実さんあたりなら監督を引き受けてくれるかな(笑)?