『デイ・アフター・トゥモロー』を観ました。
国立海洋大気庁に務めるジャックは環境サミットで、南極で棚氷が割れた事を地球の温暖化が原因であると強弁する。それが地球の寒冷化に繋がり、遅かれ早かれ氷河期が訪れると予見するも、出席者は誰も気に留めない。
その後、世界各地でタイフーンが発生したり大きな雹が降ってきたり、さらに大西洋の水温が下がったりと異常気象が多発。アメリカ西部でも巨大な竜巻がロサンゼルスを、東部には高波がニューヨークを壊滅させる。そしてニューヨークにはジャックの息子、サムが立ち往生していた。
氷や吹雪に閉ざされた世界の中、ジャックは息子サムのいるニューヨークへ向かう……といった内容。
監督はローランド・エメリッヒさん。
現在では、こういう大スペクタクル作品の第一人者と呼んでも過言ではないでしょう。
本作で言えば大津波のシーンとか、なにしろ規模がデカすぎるので超ロングショットでしか捉えようがないんだけど、この人の作品で描かれる破壊シーンには、いちいち圧倒されます。
何千どころか何万もの人々が確実に死んでいるのを知りながらも、いわば美しき地獄絵図に見入ってしまうのです。
本作の公開は2004年。
当時であれば「わー、スゲー迫力!」くらいの感覚で、あくまで娯楽として楽しんでいたと思います。
…けど、その7年後には、本作ほどの規模ではないにしろ、絵空事ではない、あまりにも身近な現実に起きた映像を目に焼き付けた日本人が増えました。“映像”ではなく、“本物”として目の当たりにした人も…。
あれを見てしまった後であれば、連想してしまうために本作を正視できない人、もしくは気にも留めず見れる人もいますが、それに関しての良し悪しはありません。あくまで本作は“映画”という娯楽の一つに過ぎないんだから。
ただ、映画には何かしらの社会的なメッセージを含んでいる(作品が多い)もので、ノーテンキに楽しむだけのものでもありません。鑑賞後にあの日を思い出せただけでも、娯楽以上のものを得た事になると思います。
中高生あたりの、道徳の授業(←今でもあるのかな?)の一環として見せてもいいかもですね。
その辺も踏まえて、本作の鑑賞後に思うのは地球への敬意。
本作における最大の脅威、それは地球です。
絵空事である本作の出来事のみならず、あの震災だって、全ては地球の気まぐれが起こした事。
なら、我々は地球に対して何ができるのか?
森林伐採を止める? 二酸化炭素の排出を抑える? ゴミの分別をしっかりする?
地球からすれば取るに足らないほどの小さな生命体である我々ができる事っつったら、せいぜいその程度ですよね。
たとえ微力であっても、地球という大家さんの下に棲まわせてもらっている身として、敬意や誠意を忘れずにいたいものです。
――ここからは、一つの映画として。
ジャックがサムの元に向かうのは、もちろん家族をおもんぱかっての行動だろうし、お互いの安否を直に確認したいのも分かります。
…けど、その後どうするつもりだったんでしょう?
サムを助ける? 何を以て? 天気を変えちゃうつもり?
ジャックが来たところで事態が好転するはずはない。ないんだけど……再会の直後に天気が回復しちゃうんだから、ちょっと待ってよと(笑)。
ラスト、これも地球の気まぐれなんでしょうね、天気は回復し、希望を臭わせてお話は終わります。
いずれは氷も解けて、現実の、現代の我々が住むような世界に戻る事でしょう。
そう、問題は氷が解けた後。
凍死による死屍累々を想像すると、これこそが本物の地獄絵図で、真のハッピーエンドとは呼べませんよねぇ。
…ん?
ふと思ったけど、少なくともニューヨークは自由の女神の腰くらいまで氷漬けになった。それだけでもかなりの質量がある氷が、南極よろしく、いずれ解ければ海の水位は上がる。
これってすなわち、遠くない未来に世界が水没するという終末を迎えるって事なんでしょうか? 実は救いのなさすぎる話なのかな…。
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劇中で描かれるのは極寒の世界。
4DXよろしく映画の世界を体感すべく、暖房を付けずに鑑賞していましたが、寒すぎて止めました…(笑)。