昨日、西脇順三郎賞の詩集部門へ、去年、出した自分の詩集を5冊、送って応募完了しました。
すっかり失念していたので、もう出した気分でおりました。
この西脇順三郎賞は、今回が第一回になるので、受賞傾向も何もわからない状態なんですが、
西脇順三郎の名を冠したからには、単純な抒情詩ではないことは明白だと思います。
鮎川信夫賞や高見順賞、三好達治賞など、終了する大御所の詩人賞が多い中、
新設される貴重なビッグ・ネーム賞ですし、その選考講評も『現代詩手帖』で公表されるようですから、盛り上がること、間違いなしだと思っております。
僕は自分の詩の原点の一つは西脇順三郎さんなので、いつか受賞したいな、と希望を持っております。
思えば、教科書に載っていた詩人で、もっとも衝撃を受けたのが、西脇順三郎だと言っても過言ではありません。
* * *
雨
南風は柔い女神をもたらした。
青銅をぬらした、噴水をぬらした、
ツバメの羽と黄金の毛をぬらした、
潮をぬらし、砂をぬらし、魚をぬらした。
静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした、
この静かな柔い女神の行列が
私の舌をぬらした。
天気
(覆された宝石)のやうな朝
何人か戸口にてささやく
それは神の生誕の日。
* * *
この「雨」「天気」は詩集『ambarvalia』で、
もう一つ、『旅人かえらず』からも、何か載っていたはず。
どうしたら、こんな詩が書けるんだろう、と嫉妬や絶望するどころか、
天分の凄さに、ただ驚嘆するばかりの高校生でした。
まさか、後年、こうして自分が書けるなんで、全く思えなかっただけに、
神様はつくづく悪戯好き過ぎます。笑
詩が書けるようになってから、この二つの詩を何度も読み直し、分析し尽くして、
自分の中に咀嚼吸収して、大きく昇華しております。
さて、初心者向けだと言う、この賞の詩篇部門にも、精鋭を選りすぐり、送り込むつもりです。