今月、投稿する『現代詩手帖』分の二篇の推敲が完了しました。
「”何を書くか”と言うのは、実はそれほど重要ではありません。どう書くか、と言うことが大切なのです。どんなふうに言葉を選び、どんなふうに組み合わせるか、その手つきにこそ、あなたらしさがあらわれます。(略)あらかじめ書こうとするテーマやメッセージなどなくても、知っている言葉や目についた言葉を並べて、あなたらしく組み合わせていくうちに、自分の内に潜んでいたものが見えてくることがあるのです」p 70-71
・「何気ない(あるいは謎めいた)タイトルが、作品を読み終わったあとで、なるほどそう言うことだったのかと意味合いが深まって了解されてくるような仕掛けは、心にくい。読み手に、ああ読んだなという実感を与えてくれます」p88
・「感受性が鋭い人が詩人になるのではなく、むしろ詩を書いていることで感受性が磨かれていくのだと思います。言葉をつかうと、感覚のアンテナが立つ。つかい続ければ、鍛えられ磨かれて、アンテナの感度はどんどんよくなっていきます。世界や、自分自身を、くっきりととらえられるようになるのです。(略)まずは単純な言葉でもいい、世界を意識してみることから始めましょう。
最初は、誰かに駅から家までの道筋を教えるときのような単純で大雑把な地図でかまいません」p150
・「詩や文章を書こうとしてなかなか書き始められないあなたは、何か人に伝えるべき「ちゃんとした」そして「伝わりやすい」内容をそこに書こうとしているのではありませんか。そう言うふうに書くべきだと言う先入観は、あっさり捨ててしまってかまわないのです」p183
・「自分のまなざしが、なにか貴いもの、美しいものを見いだしたときに、人はときめきます。(略) それに一瞬で反応できる力が、詩を書く人にはそなわるのだと思います。そして、この詩を自分なりに読み解こうとしたわたしたちにも、その力は「おすそわけ」されるのです。それが、詩を書き、読む人が受ける大いなる祝福です。新しい言葉を書き、読むことで、新しい自分をかたちづくっていきましょう。人は何度でも、生まれかわることができるのですから」p184
どれも、詩を書いている自分からすれば、納得できる珠玉の至言ばかりです。
こうした川口さんと渡邊さんの書かれた至言の存在こそが、詩を書く経験を通じて培われるものの、何よりの証左になっていると思います。
たぶん、多くの詩の入門書が、親切すぎて難易度のお高い技法書になるか、
逆にぶっきらぼう過ぎてなんとなく分かるけど、どうしたらいいかわからない、のどちらかである中では、
最良の一歩が踏み出せるものだと思います。