星野智幸「人間バンク」 | 読書と、現代詩・小説創作、物語と猫を愛する人たちへ送る部屋

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小説や詩の創作、猫また大学通信を書いています。Twitterは、atlan(筆名:竹之内稔)@atlan83837218 放送大学在学中。「第8回新しい詩の声」優秀賞を受賞。
 京都芸術大学の通信洋画&文芸コース卒業/慶應義塾大学通信卒業/東洋大通信卒業/放送大大学院の修士全科生修了。

今日は、本の紹介。
詩人で小説家の、平田俊子さんを目当てに買った短編集『それでもお金は必要だ』の中から一編、
星野智幸さんの「人間バンク」。

星野さんは、純文学系の作家でありながら、
エンタメ系寄りの、少し不思議な作品を書く作家。

ある意味、僕の目指すべきポジションでもある。
本作「人間バンク」も、人間を「百万人貨」に換算することから始まる、ちょっと不思議な設定で、ストーリーが展開する。

「百万円」ではなく、「百万人貨」です。
これ以上はネタバレになるので、言いません。

また、最後のオチは、僕には現代詩的なメタモルフォーゼ、異化効果で終わっている気がしました。
こう来たか、と勉強になりました。
主人公の立つ位置が、物語の始めと終わりでは異なっているべきですからね。

さて、本作は、原稿用紙で58枚になります。
平田俊子さんの「バスと遺産」は、原稿用紙56枚。
残念ながら、後者は期待した出来ではなく、僕的には不発でした。

58枚でも、短いと思うのに、川端康成青春文学賞は30枚以下。
うーん、どう書くべきか、ここ1週間ずっと考え、迷ってます。

ただ、やはり、現代詩的な「異化」アプローチをすべきか、と思っています。