いつかは仕事を辞めるときがくる。

 

退職に備えてやっておいてよかったことは、どんな人生を送りたいのか、考えておくことである。

 

そのために重要なことは、自分への問いをつくることである。私自身に問いかけたことは、いろいろある。例えば、どんな時間を過ごしたいのか、どこで過ごしたいのか、誰と過ごしたいのか、何をしたいのか、どんな自分でありたいのか、何を所有したいのか、何を誰に与えたいのか、何を残したいのか、など。

 

抽象的な質問でもいいので、自分に問いかけて、自分が望んでいることを感じてみる。感じるセンサーが働かない時は、思いついたことを書き出してみる。ノートに書き出して、頭の中を整理しながら、望むことを更新していく。

 

願望が見えてきたところで、そのためにはどうすればいいのか?と方法を探していく。例えば、夫と海外旅行をしたいことが願望だとすれば、そのための方法として考えるのは、心身の健康を維持すること、どこにどれくらいの期間行くのか、どんな旅をしたいのか、いくらくらい必要なのか、となる。

 

キャリアカウンセリングの仕事をしているとき、50台後半から60歳前後のクライアントも多かった。クライアントと面談をしていると、これからどんな人生を歩んでいいのかわからないという会話も多かった。なぜ、答えられないのかというと、真面目なサラリーマンほど、会社の指示に応えることで頭の中がいっぱいで、自分は何を満たしたらいいのかが後回し、もしくは、自分を満たすことは日常的に考えていないように、私には見えていた。

 

会社を辞めたら、指示する人はいなくなる。自分を満たせる人は自分である。