14歳くらいの時は、学校に行かず、図書館や本屋や映画館にばかり居た
 
ヨーロッパでの大学時代、よく授業を抜け出しては附属の植物園の日がな一日、小鳥や魚と戯れたり、温室で花の香りを想像しながら美しい音楽を聴いていたのを思い出した
 
その時に、外の世界への「種」を見つけたから、独立もできたし世界一周もできた
 
ベルトコンベア式の生活を抜けて、ダラシネとして生きていく方法を画策できた
 
心の栄養を養える場所
恣意的に好奇心に触れる場所
人生のコンパスになるような
「こうあっていいんだ」と受け入れてくれる場所
 
こんな場が、日本にはあといくつあるんだろう。
 
 
 
 
一番好きだったのは土のコーナー
指を潜り込ませては、世界中の大地に思いを馳せる
 
真っ白なサンドビーチの冷たい砂
エーゲ海のように真っ黒で、磁石でくっつく重い砂
沖縄の陽射しのあたたかさを感じる、カンボジアのような赤土
 
どうしてこんなに愛しいのか
と理由を考えた時
 
気軽に旅ができない今だからからこそ、心の底から恋しいのだと気づいた。
 
 
 
いつか、我が子をここに連れて来たかった
 
調べ学習の時
世界に興味を持った時
ひとりになりたい時
 
人生を植物園に救われた者の一人として
こんな場所もあるんだよと言ってあげたかった
 
なんとか閉館までに間に合い、滑り込めた私はとても幸運なのだと思う
 
この記憶を誰かに伝えることができるから
誰かが人生で疲れてしまった時に、ハーブガーデンやバラ園を提案することができるから
 
ほんの小さな世界だけど
自分のサロンでは、お客様の気持ちにぴったりのお茶を煎れて差し上げたい
 
日本に園芸店や庭園は数あれど
植物や自然との対話をさせてくれる場所ってそうそう無い
 
 
 
どんな香りを
植物の力を
命を
 
宝石に閉じ込めましょう?