打たれても俯かずクールだった
抑えても安心せずクールだった

山本由伸の速球がWBCと日本シリーズで意外にも捉えられていたことには一抹の不安を感じたが
それでも抑えたことは逆に山本の凄みでもある

「山本はMLBで通用するのか?」との議論にはならない、逆に
「我々の主力打者は山本に通用するのか?」の議論が既にナ・リーグ西地区を中心に行われているに違いない
山本が投手4冠にも関わらずクイックモーションに変えたのはMLBを意識してのことだと勝手に思っている
「山本の今季最終形」が「山本の記念すべきMLB開幕形」ではないだろう
もしかしたら若干角度が縦回転になってるかも知れないし、2シームがバリエーションに加わってるかも知れない
ここぞのコマンド能力に磨きがかかってるかも知れない
だだ10代でセンセーションを巻き起こしたスプリットは進化こそすれ変わらない衝撃を与えてくれるはずだ
やはり野茂英雄は偉大だ
トルネード銅像が出来ても良いくらいだ
(山本の会見は初年度以前なので当然日本語だが、大谷の会見を見て改めて思う)

ラリードライバー勝田が凄い旨語ったが

勝田は英語も凄い
所謂ネイティブスピーカー以上だ
脳内で訳している時間はない
ナビゲーター(コ・ドライバー)は超絶早口で喋ってる
早口メカニックと早口でやり取りし
早口インタビューに早口で答える
正直言って日本語だとしても、あのテンポには付いて行けない

インタビューの受け答えに関しては
欧州で活躍するサッカー選手やウィンタースポーツ選手も現地語で対応している
北口榛花の流暢なチェコ語も話題になった

ただし
野球界の公式会見において、日本人は日本語が標準なのだ
十二分に英語で対応出来るはずなのだか

日本から来たプロ野球選手だ
人前では日本語で話す
 細かい意味での誤解を避けるため

野球界でそれを一代でスタンダードとした
NPBでのスターはMLBでもスターだ
という常識と共に

「英語で話さなかった」ではなく
「日本語で話した」と言うべきだろう

郷に入っては郷ひろみ
で英語文化圏に入れば英語で記者会見する
それは勿論グローバルな振る舞いだと思うが
地球規模で見ても日本語は決してローカルではないはずだ
野球にフォーカスすると日本は先進国に違いない
そして日本のスーパースター
人前では最も得意な言語を使うことは適切なことのみならず
グローバル言語の1つであるはずの日本語を話すこともグローバルな振る舞いとも言える

ちなみに
水原一平の声は低くてカッコいい
何気にマイケル・ジョーダンの記者会見での語り口に似てる気がした


前置きはさておき(前置きやったんかい)
野茂のMLBでの初勝利はドジャースでの7戦目だったと記憶している
日本人投手には疑心暗鬼、否それ以前で「通用しない」と信じられていたかも知れない
6試合勝利がなかった、約2ヶ月間だ
何らかの手を打たれたとしても不思議はなかった
しかし、ラソーダ監督とピアザ捕手は信じてくれていた
今ではあり得ない年俸1000万円以下の投手を信じてくれていた
「かつてない凄い球を投げている、勝てないはずはない」
4月と5月の重苦しい空気を慮ると、MLBを震撼させた6月の感動は意味深い
16奪三振2完封6連勝
多くの日本人投手が海を渡り、快投を演じてくれたが
今だかつてこれ程のインパクトはない
月間サイ・ヤング賞で間違いない

色んな細かい記録が紹介されるMLB
確認出来ていないし、知る限り語られてもいないが
史上唯一ではないだろうか
4月と5月に勝利がなかった投手がオールスターで先発したのは
オールスター先発とは実質前半サイ・ヤング賞なのだから
シーズン後輩のみでMVPを獲るようなものだ

忘れてはならないのは
勝てなくても俯かずクールだった
勝っても有頂天にならずクールだった
こと
山本由伸もまた、きっとそうあるはずだ


ピアザ