元気な君が好き | 気まぐれ図書館

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主に、サイト更新関連かと。
社会人しながら、専門で小説の勉強中です^^

 いつでも、笑っていた。

 いつでも、みんなの輪の中にいた。

 その姿はとても楽しそうで、眩しくて。

 ほんの少しだけ、羨ましかった。

 そんな君が見せた、一筋の涙。

 それが、こんなにも僕の心をかき乱したんだ。




「…何?」


 ぶっきらぼうな、君の声。

 もう、彼女の頬に、涙はなかった。


「いや、何でもない」


 そう言って、彼女とは、机を挟んで背中あわせに座る。


 そんなことをしたら、彼女の表情が見られない。けど、それでも良いと思った。

 いや、その方が良い、と。


「ほんと、何してるの?」

「何にも。でも…」


 彼女の問いに答えて、そこで言葉を切る。


 彼女は、相変わらず押し黙ったまま。まるで、僕の答えを待っているかのように。

 そんな時間と、この教室の空気が、何だか少し、心地良い。


「僕は、ここにいるよ」

「ッ…!」


 言ってみれば、後ろから息を飲む声。

 それは、次第に、嗚咽へと変わっていく。


「嫌い、あんたなんか、大っきらい」


 震える声で、そう言って、また、彼女は黙ってしまった。

 ただ、規則的に続く、鼻をすする音以外には。


「嫌いで結構」


 知っていた。

 彼女は、心から嫌いだと思っている奴に、嫌いとは言わないと。そして、彼女はあまのじゃくなんだと。

 だから、僕は笑う。今泣いている、彼女の分まで。


「ずっと、ここにいる」


 もう一度、その言葉を繰り返せば、かたり、と、椅子が動く音。

 顔を上げれば、彼女が目の前に立っていて。


「だいっきらい…」


 彼女もまた、同じことを呟いて、僕の首に手を回す。

 小さな体が、震えていた。


「うん」


 今度は、一つ頷いて、そっと彼女の背中を撫でる。それだけで、次第に嗚咽が大きくなっていった。



 彼女は、クラスのみんなの中心的存在で。

 いつも、笑っていた。

 いつも、みんなの真ん中にいた。


 でも、僕は知っている。

 彼女が、一人悩んでいたことを。

 彼女が抱える、闇の部分を。


「一人になりたくないよ」


 そう、消え入りそうな声で呟いた彼女を、きつく、抱きしめた。


「ここにいる。僕が、君の分まで笑うから、今は、泣いても良いよ」


 思いっきり、泣けば良い。

 僕にだけ見せる姿で、想いを全て、吐き出してしまえば良い。



 僕が見つめていたのは、きらきらに輝く君。

 そして、孤独に震える君。


 でも、笑顔の君が好きだから。

 君が笑えるようになるまで、何だってしよう。


 だから、今、僕はここにいる。