星天に瞬いて 7 | 気まぐれ図書館

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「レヴィー、俺は、神子なんかじゃない。こいつらと同じ、まがいものの命さ」

「ッ…!」


 その言葉に、レヴィエンスだけでなく、リンも驚愕する。だが、そんな弟に笑ってみせると、ライトは言葉を続けた。


「先のハットゥシリの内乱、前線に立っていた俺は、命を落とし、リンが唱えた“再臨”で生き返ったんだ」

「だ、だったら、私も…!」

「ダメだ! もう二度と、同じ過ちが起こらないように、俺達兄弟は業を背負ったんだ」


 そこで一度言葉を切って、ライトはリンの応戦に術を詠唱する。防戦一方、とは、お世辞にも言い難かった。圧倒的に押されている。


「貴様の中の“再臨”をよこせ! それがある限り、我らはまた闇に葬られる!!」

「く…ッ!」


 何とか防御呪文で攻撃を防いでいるが、苦しそうな息を漏らすリン。サイスは、これを危惧していた。


「光よ、集え! アシェア!」


 自分の知る中でも最も得意で強力な呪文を唱えると、マモンがあまりの眩しさと衝撃にわずかだが怯む。今度はマモンから目を逸らさずに、ライトは言葉を紡ぎ出した。


「俺達の背負った業。リンは“再臨”を唱えた罰として、その身に“再臨”の書を封じられ、生涯かけて守り抜く依り代となった。俺は、日中、出歩くことのできない体になり、たった一人の弟に、その業を背負わせるための呪文を唱えた」

「でも、私だって、今は夜しか出歩けないもの! だったら、ライト様のように…」

「ダメだっつってんだろ!!」


 強い語気で言い放つライトは、それを言霊に新たな呪文を繰り出す。悪魔の猛攻をじわじわと押し返しながら、少しでも悪魔の“狂気”を削り取れるように、連続で術を叩きこんだ。


「レヴィー、俺は、神に選ばれたんじゃない。捨てられ、悪魔に魅入られたんだよ」


 そう、ライトが言うや否や、ゆっくりと、街の建物の隙間から陽の光が見え始める。それは、悪魔を召喚し、生を捻じ曲げているレヴィエンスにとっては、毒でしかない。


「ライト!」


 リンに呼びかけられた時には、彼は咄嗟にレヴィエンスをかばうように、自分のコートを彼女にかぶせていた。


 だが、


「ライト様!」


 コートにくるまったまま悲痛な叫びを上げるレヴィエンスの前には、次第に焼けただれているライトの腕がある。そして、その左腕は、服に血が滲んで、紋様を描きだしていた。それは、傲慢の悪魔、ルシファーの象徴。


「…ほら、わかるだろ? これが、世界の理を捻じ曲げた、俺達への代償だ」

「ッ…!」


 息を呑み、レヴィエンスは自分の背中を押さえる。おそらく、そこには、マモンの紋様が刻まれているはずだ。


「死ぬのは、確かに怖いさ。俺も、死にたくないって思った。でも、死ねずにいることが、一生消えない罪を背負わせることになるんだ。俺は、それをリンに与えてしまった」

「ライト…」


 その言葉に、リンは何か言いたげに口を開くが、すぐに目の前の悪魔に集中した。もはや、マモンの動きは捉えた。あとは、封じれば良い。


「俺は、俺達は、悪魔を滅する。それが、俺とリンに課せられた、もう一つの代償だ」


 そう言うと、ライトは、手をまっすぐにのばし、マモンに向ける。だが、それは、同時に、悪魔によって生を繋ぎ止めているレヴィエンスの、文字通りの死を意味していた。


 ライトの行動は理解しているはずなのに、レヴィエンスは何も言ってこない。先刻の勢いが嘘のようだった。


「ライト様、悪魔を、払って」

 絞り出すような声。顔を上げた時、レヴィエンスは涙を流しながら笑っていた。