「ッ…!」
一人、飛び出したシェオルは、村に向かう途中で足を止めた。
「みんな…」
思わず口に出したものの、果たして言葉になったかどうかはわからない。だが、その光景は、あまりにも無惨だった。
森の中に、三人の遺体。切り刻まれ、炎に焼かれたような傷跡まで負って、事切れている村人に、シェオルは思わず歯噛みした。
――俺が、もっと早く気づいてれば…。
後悔しても遅い。
そのことは、シェオル自身が幼い頃に身を持って体験したこと。だが、それでも払拭できないのは、あの光景が、あまりにもインパクトが強かったから。
「シェオル!!」
不意に、自分を呼ぶ声。
気付いた時には、魔物はすぐ目と鼻の先で。だが、次の瞬間には、それは吹き飛ばされていた。いや、正確には、撃ち抜かれたのだ。
「レット、ザグ!」
「油断大敵、だろ? シェオル」
「ったく、一人で突っ走るなよな」
肩で呼吸する二人の姿を見、シェオルは思わず苦笑した。本当に、この二人の友達思いには、いつも助けられる。
「行くぞ“エレス=フィルア”」
「やるぜ“レオル=アルマ”」
二人の声に呼応して、それぞれガイアが光る。レットの銃からは美しい女性が、ザグの槍からはいかめしい男性が現れる。
「具象化までしてくれるなんて、百人力だな」
「言っている場合か?」
単純に感心していたシェオルを諭すように、レット。それにまた苦笑で返し、
「急ごう。村が危ない」
ようやく、平常心を取り戻し始めたシェオルは、先頭に立って走り出した。