王子様とお姫様。 13 | 気まぐれ図書館

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 惨状が、目の前に広がっている。慣れた光景とは言え、気持ちの良いものではなかった。


 それは、彼女も同じようだ。


「終わったね…」

「あぁ」


 思わず、呟くアズリー。そんな彼女に、俺も、頷くことしか出来なかった。


 エルミナを殺した後、俺は、アズリーに麻酔銃を撃ち込んだ。全ては、彼女を殺した、と、ゼロス達に錯覚させるため。そして、その計画は、こうして実行した。


「エルミナに捕まった時は、正直どうしようかと思ったけれど。結果オーライだったね」

「あぁ。おかげで“ブラックヘブン”は壊滅」

「こっちも、首尾よく終わったしね」


 そう言って、どこか悲しげな表情で、アズリーは微笑んでみせた。


 俺達は、あの生活を続けながら、ひそかに、お互い恨みを持つ組織に復讐することを決めた。


 “ブラックヘブン”を抜け出したかったアズリー。

 不死の体に勝手に改造され、操られるままに人殺しをさせていた“ウロボロス”の唯一の殺し屋であった、俺。


 アレウッドの闇組織の二大勢力は、今日、この瞬間に壊滅したことになる。


 ただ、本当の意味で壊滅を迎えるのはこれからだった。


「次は、私達、だね…」

「あぁ…」


 この作戦を実行しようと決めた時、約束をしたのだ。


 組織の壊滅は、この街から、暗殺者を失くすことにある。それは、もちろんながら、俺達も含まれていた。


「これで、本当にサヨナラだな」


 あの時は、お互い、生きていることを想定しての、別れのシーンを演じただけだ。だが、今度は違う。本当に、これがフィナーレだ。


「楽しかったよ、姫」

「うん、良い夢を見させてくれて、ありがとう、王子」


 そう言って、笑い合い、お互い、銃を手にする。アズリーの銃は俺の腕の結晶を、俺の銃はアズリーの心臓を、今度こそ間違いなく捉えていた。


「また、地獄で逢えたら、その時は、また、王子、って呼ばせて」

「あぁ…」


 そんなもの、あるわけないのに。


 どこまでも夢見がちな姫に、思わず苦笑する。だが、それを信じてみるのも悪くない。


「さよなら、姫」

「さよなら、王子」


 二人、短い言葉を交わして。


 お互い、何のためらいもなく、同時に、引き金を引いた。