カルマ 6 | 気まぐれ図書館

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「これは、高位魔法…! アシェア!!」


 驚くソフォスの言葉すら、何処か遠くに感じる。


 忘れていた感覚。


 大切なものを護るために自分が出来ることをする、そんな当たり前のことを。


 魔力の結晶が、術を導く。彼女がゆっくりと目を開けたと同時に、術は完成した。


「闇を切り裂け! アシュートレーザー!!」


 光線となって飛んでいった魔術は、魔物の腹部に命中する。それが深手となり、魔物は悲鳴のような声を上げた。


「リゲルさん、今です!」


 叫ぶと、彼は頷いて、魔物の頭部に拳を叩きつける。


「はあぁぁぁっ!」


 気合が、そのまま力となり、衝撃波のように空気を揺らした。


 そのまま、一瞬の静寂。


 そして、ぐらり、と、魔物の体が傾ぐ。


 どうやら、頭部が弱点だったらしい。魔物は、一際甲高い声を上げ、消滅していった。


「消え…た…?」


 自分の行動も何もかもが信じられないといった様子のアシェアに、ソフォスが話しかけてきたような気がしたが、もう、何も耳に入ってこない。茫然としたまま、彼女はその場にへたり込んだ。


 使えなかったはずの高位魔法が使えた。それは、ユミルが許してくれた、と、思って良いのだろうか。


――うぅん、始めから、枷にしていたのは私の方。それを、教えてくれたのですね。


 自分の手をじっと見つめ、アシェアはようやく笑ってみせる。すると、そこに上から声が降ってきた。


「まぁ、お姫様にしては、頑張ったじゃねェか」

「茶化さないでください」


 言って、ふくれっ面になったアシェアに、それまで仏頂面しか見せていなかったリゲルが、不意に吹き出した。


「あ、やっと笑って下さいました」

「ッ…!」


 言って、嬉しそうに笑うアシェアに、リゲルはバツが悪そうな顔を見せる。


「ったく…。シエロの人間は変だ」

「それは心外です」


 恥ずかしさを紛らわすためか、言って、ぶっきらぼうに差し出された手に、アシェアは笑いながら握り返した。


 いつの間にか雨は止み、白んできた空には、うっすらと虹がかかっていた。