ロンドンに留学中、ロンドン大学の一つのカレッジで、ビジネスイングリッシュのコースを受講したことがありました。3か月間のインテンシブコースだったのですが、最後の授業の日に全員プレゼンテーションをする機会がありました。テーマは自由だったので、私は「日本とイギリスのカスタマーサービスの違い」について発表することにしました。当時、ジュエリーショップでアルバイトしていたので、日本とイギリスの接客やサービスの違いに色々と面白い気づきがあったのです。それを発表したらクラスメートの興味をひけるかもしれないと思いました。

 

念入りにプレゼンテーションの中身のスクリプトを書き、それぞれの国の接客やサービスの例などを挙げて、自分なりに納得のいく内容に仕上げたつもりでした。その時は、パワーポイントは使わず、ワードで作成した比較表をハンドアウトとしてクラスに配布し、それを見ながら聴いてもらいました。

発表前に家で何度も繰り返し練習し、できるだけスクリプトを読まずに話せるようにしてから迎えた本番当日。とても緊張しましたが、練習した通りに発表は進みます。ただ、聴いているクラスメートの顔が無表情だったため不安になりました。それでも、無事に発表を終えることができ、先生からは「Excellent!すごく面白かったわよ!」と、内容についての高評価をいただきました。

 

ところが、ヨーロピアンのクラスメート達と一緒に帰っている途中、帰り道でクラスメートの一人からこんなふうに言われたのです。

 

「あなたのプレゼンテーション、すっごくつまらなかった。途中で何度もあくびが出ちゃったわ。」

 

それを聞いた私はショックで顔が引きつりましたが、彼女はなぜつまらないと感じたのかその理由も教えてくれました。まとめるとそれはこんな内容でした。

 

  1. 話し方が単調で聞いていて眠くなった。

  2. ハンドアウトが文字ばかりで読むのが面倒だった。

  3. 顔の表情やジェスチャーなど動きがなくてつまらなかった。

 

たしかに、彼女の指摘はすべてその通りでした。私は、プレゼンテーションの内容はしっかり考えていたものの、発表の仕方については何の工夫もせずに緊張しながら、こわばった表情で、抑揚もない英語でただ淡々と話したのです。

 

ならば聴いている人を引き付ける魅力的なプレゼンテーションとはどんなものなの?そう考えたとき、要するに私がしたプレゼンテーションの真逆のことをすればよかったのではと思ったのです。抑揚のある英語で、時には聞き手に質問を投げかけたりするのもよかったかもしれません。ハンドアウトにはイラスト、図、表など視覚で見て情報がわかるものを入れた方がよかったでしょう。そして、観客にアイコンタクト、ジェスチャ―を交えて話し、顔の表情も意識しながら話したらなおよかったでしょう。

 

クラスメートからの率直な感想で私は自分のプレゼンテーションの改善点を知ることができました。それからは聞いている人が興味を持って聞いてくれるような発表の仕方をすることを心がけるきっかけとなった出来事でした。

 

 

2015年 ロンドン大学の近くにある大英博物館のモアイ像前にて

 

島根大学 英語コミュニケーション講座講師 Cathy