英語をうまく発音したいという人はよくいます。私もその1人です。中学、高校と英語をやる中で、「アメリカ人のような発音で話したい」と思い、当時ハマっていた洋楽を何度も聴きながら、部屋で大きな声で歌っていました。

 

これがなかなかうまくいかないのです。音ひとつひとつもうまく発音できないし、音が消えてしまうところや小さくなってしまうところがどうやってそうなるのかがわからなくて、何度も何度も真似て歌っていました(家族はうるさかったと思います)。

 

繰り返し練習するうちに、少しずつレコード(はい、当時はまだレコードでした)から流れるアーティストの声に自分の声が乗るようになりました。つまり、口が、舌が、レコードから流れる英語についていけるようになっていたのです。当時はまだ考えが及びませんでしたが、英語の勉強を大学、大学院と続けるうちに、日本語との音の違い、出し方の違いを理解し、結局私の体(口や舌)が英語に適合したんだということに思い至りました。

 

本講座でまさにそれを教えてくれるのが「発音講座」です。このコーナーでは「筋トレ」という言葉が出てきますが、まさに私が歌いながらやっていたのはこのことだったのです。私たちの体は鍛えれば、どんどん筋肉もつき、今まで持ち上げられなかったものが持ち上げれたり、できなかったストレッチができるようになりますよね。それは首から下のことだけではありません。首から上、つまり顔の中も一緒です。人間の顔には表情筋がありますが、表情筋を使わないと歳とともに顔が垂れ下がってくるとかいいますよね。口も舌も全く同じです。

 

英語には日本語にはない音があります。私たちが普段の生活で使わない口の形や舌の強さを使わないといけなくなります。使ったことがなければ、うまくできないのは当然です。うまくなるためには練習(筋トレ)が必要なのも当然です。本講座の「発音講座」はまさに的を得ているのです。

 

私はほんの少しですが、フランス語を話します。フランス語には英語と異なる発音があります。この夏フランスにいたとき、私がすんなり言えた言葉、フレーズは、日本にいるときも家庭でよく使うものでした。私の口がしっかり覚えてくれているわけです。新しい言葉はなかなかうまく口に出せなかったし、発音もなんだかうまくいきませんでした。言葉を口から発することで自分の言葉になり、発音、発話できることを再度実感した夏でした。

 

さあ、みなさん、前期でやった「筋トレ」、続けていますか?いい表情で、しっかりした声で英語を話してみましょう!

 

香川大学 英語コミュニケーション講座 担当講師

Emma