今回の旅の目的は、家族に会うことだ。コロナ禍で日本国内でも移動がままならず、講座生の中でも家族に会えなかった人がいたものだが、夫側の家族がみんなフランスという我が家では、本当にこの3年は長かった。

 

ライトアップされたロット川にかかる橋。中世の街並みが残る。

 

パリから移動したのは夫の母親が住む南の街。パリからTGVに乗り、ワインで有名なボルドー(Bordeaux)。そこで乗り換えて最寄りのアジャン(Agen)という街まで移動。そこからさらにバスで30分くらいのところにあるビルヌーブ=シュル=ロット(Villeneuve-sur-lot)という街が目的地。近くをロット川が流れ、煉瓦造りの家が多くある、この地方の典型的な街だ。

 

日本も今年は猛暑だが、フランスも猛暑だ。夫の話によると、フランスはもともと太陽の時間より1時間ずらしており、そこに今サマータイムになっている。つまり、フランス時間の正午は、日本でいうと午前10時になるわけだ。太陽の時間とずらすことで、明るい時間が長くなり、省エネにもつながるというわけだ。そのため、午前中はまだ外に出かけても耐えられるが、午後になると18時くらい(日本の感覚だと16時)までは日差しが強すぎ、気温も高く外に出られない。

 

エアコンが普及していないフランスで、この暑さをどう過ごすか。フランスの家の窓にはヴォレ(volet)と呼ばれる雨戸がついているのだが、これと窓を閉めてしまい、家の中を暗くし、室温の上昇を抑えるのだ。湿気がないため、昼間に日差しを遮れば、夜窓を開けると涼しい風が入り過ごしやすくなる。初めて経験した時には、暗い中で過ごすことにかなり抵抗を感じたものだ。

 

前述のサマータイムもあり、9時くらいまで明るかったりするフランスの夏は、遅くまで人が外に出ている。ところ変われば、といったところだが、そこは異文化体験。同じように長い夜を楽しんでみる。休みを大切にし、家族や友人との時間を楽しむ姿を見ていると、自分も一瞬一瞬を大切に生きたいと思い、気持ちがちょっぴりしゃんとする気がする。異国で異文化に身を置くと、今までの当たり前を少しだけ違う角度で見ることができる。自分の頭の中をちょっぴりリセットする夏になった。

 

夜10時を過ぎても賑わうカフェ。子供も大人も元気!

 

香川大学 英語コミュニケーション講座講師

Emma