3年ぶりにパリに行くことになった。日本風にいうと夫の里帰りである。

 

3年ぶりになる海外旅行は、高松から成田へのジェットスターの旅から始まった。成田で国際線へ乗り換えだ。私自身は成田を使用するのは20年ぶりくらいだろうか。久しぶりの成田、久しぶりの国際線。驚いたのは、空港のお店がかなり閉まっていることだ。利用客が少ないから仕方がないのかもしれないが、いつも出発直前に空港で本を購入するのが常だったので、本屋が一軒もないことに愕然とした。本屋の数やどんな本が売っているのかが、その国の文化の程度を測る一つの目安だという話を聞いたことがあるが、成田空港を見る限り、日本の文化水準はかなり低い。

 

いつもは高松に近い関西空港を利用するのだが、これもまたコロナ禍の影響で利用客が少ないためにリムジンバスが運休となっており、利便性を考えて成田に飛び、そこからパリを目指すこととなった。航空便の料金をなるべく安く抑えるため、いつもどこかで乗り換えるのだが、今回はエティハド航空というアラブ首長国連邦(UAE)の会社を使用したので、乗り換えは首都アブダビだった。

 

アブダビ空港での乗り換え時間は5時間ほどだった。中東の空港に降り立つのは初めてだったので、空港にいる人たちの顔立ちやヒジャブをつけた女性を見て、イスラム教の国なんだなあと感じた。空港内をうろうろしていると、案内板に「Prayer Room」とあるのもさずがイスラム教の国。トイレに入れば、洋式便座の横にシャワー。こういう違いを見つけるのも海外旅行の楽しみだ。自分の日常が日常でなくなるとき、気持ちは謙虚になり、ちょっとワクワクする。あぁ、今私は日本にいないんだ。

 

 

アブダビからパリへと飛び、家を出てから24時間以上の移動の旅は、ホテルへチェックインしてとりあえず終了。パリに到着したとき、空港でタクシー乗り場の配車係の女性の態度に再度異国を感じた。お客さまに腰が低いのが一般的な日本に比べると、彼女の態度はかなり大きかった。「そこのお客さん、あなた、そこで待ちなさい!」「そこの女性、あなたの番じゃないから、そこで待つ!」という感じのフランス語の指示が飛ぶ。その態度は「ここ仕切っているのは私だから、文句言わさないわよ」といった感じだろうか。なんだか気持ちよかった。

 

空港ではほとんどの人がマスクをして移動していたが、パリに入るとマスクを着用している人を見つけるのが難しいくらいだ。旅はまだ始まったばかり。これからどんな旅になるか楽しみだ。

 

 

香川大学 英語コミュニケーション講座

担当講師 Emma