私は大学入学が決まった年、高校卒業式を終えてすぐに英国に一人旅に出ました。18歳の誕生日を迎えたすぐ後だったと記憶しています。

 

英語は高校時代にそれなりに勉強していたものの、初めて訪ねる英国にドキドキ。私はアメリカ英語を勉強してきたけれど、イギリス英語がわかるだろうか、イギリス人ってフレンドリーなんだろうか。飛行機の乗り継ぎは1人でできるだろうか。何もかもが不安でした。飛行機の中では緊張しすぎて眠れないし、機内の英語のアナウンスもよく聞こえず、何か重要なことを言ってたらどうしよう、なんて全てが不安の材料でした。ロンドンでの入国審査では無愛想なおじさんに質問をされ、涙が出そうになりました。また入国を無事終えた後も、ヒースロー空港から1人でロンドン市内まで出なくてはいけません。その方法を何度もガイドブックで読んで頭に入っていたにも関わらず、1人街に投げ出されたような気分で、もう今すぐにでももう一度飛行機に乗って日本に帰りたい気持ちでした。

 

この写真は2回目の一人旅の時の出発の様子で行き先はアメリカとカナダでした。見送りに来てくれた友人と伊丹空港にて。私は左から2番目。1988年夏。

 

あの一人旅からもう30年以上経ってしまいましたが、その頃のドキドキやハラハラ、背中に流れる冷や汗、と言った過去の醜態はまるでなかったかのように、今ではスムーズに世界を旅行できるようになりました。でも先日、その当時の初めて海外旅行を体験するときの不安と興奮、喜びと言ったものを思い出させてくれる出来事があったのです。

 

それは私の17歳の息子が一人旅に出たことでした。夏休みを利用して英国にいる親族を訪ねるための旅行です。

 

関西空港で搭乗する飛行機の情報を探す息子。2022年夏。

 

私の時とは事情も違い、途中乗り継ぎ先のクアラルンプール空港から電話をしてくるなど、海外にいても便利です。とはいえ、初めて1人で自分の持ち物と身体を守りながら飛行機を乗り継ぎ、無事に入国審査を終えて外に出るまでは不安でいっぱいなのは、いつの時代も一緒。

 

クアラルンプール空港で乗り継ぎを経験。ロンドンまでもう一歩。

 

「わからなかったらとにかく誰かに聞こう。」私はそう言って息子を送り出しました。息子は英語という言葉をツールにしてコミュニケーションを取っていることでしょう。その時の息子はどの言語を使っているということはあまり問題にしていなくて、コミュニケーションを取る、ということに神経を注いているはずです。30+年前の私もコミュニケーションを取るために必死で英語を話していました。その時の集中力と英語力の向上スピードは教室で学ぶ英語とは大きく異なるでしょう。

 

私たちの英語コミュニケーション講座もこの感覚に近い体験をしていただきたく、さまざまな仕掛けを作っています。講座で実施するアクティビティがその典型的な例です。気がついたら、相手に伝えたいことに必死になっていて英語で話していた、という経験を講座でたくさんしていただきます。

 

学生さんにとって夏休みは、学びと挑戦に挑むことのできる最高の時間です。学校の授業から離れたところでさまざまな経験を積んで、さらに大きくなった講座生の皆さんに、後期に会えるのを楽しみにしています。 Have fun!

 

英語コミュニケーション講座 担当講師 Shelly