3月と言えば、日本では卒業や、進級・進学準備の季節ですね。私がこの時期に思い出すのは、大学2年生の春休みに初めて行ったイギリスで過ごした日々です。通っていた日本の大学がイギリスの大学と提携しており、単位も取得できる1か月の語学研修に参加しました。高校生の頃からずっと海外で英語を勉強したいと思っていた私にとって、それはやっと巡ってきた貴重なチャンスのような気がして、学内のポスターを見てすぐに申し込みました。

 

滞在したのは、ロンドンまで電車で1時間程、イングランド南東部にあるコルチェスターという人口約10万人の町でした。ここで同じ大学から参加した学生約30人と共に、それぞれホームステイをして過ごします。これが人生初海外だった私は、ロンドンのヒースロー空港に降り立った時から興奮気味で、日本から引率してくださった教授から落ち着いて行動するようにと注意されたくらいでした。

 

コルチェスターにあるエセックス大学で受講した一か月間の語学コースは私たち日本人学生のために特別に用意されたプログラムでした。そのため、現地学生と一緒に授業を受ける機会はありませんでしたが、日本語サークルに所属している現地の学生たちとの交流イベントが用意されていました。お昼休みには大学のキャンティーン(イギリスの学生食堂)で食べるので、自分さえ積極的になれば現地の学生とコミュニケーションを図る機会を作ることができました。

 

現地の大学で驚いたことを二つご紹介します。

1.ボランティア活動をしている学生が多い

毎日、放課後になるとたくさんの学生たちがボランティア活動に参加していました。チアリーディングのチームが学内中チアダンスをしながら募金活動をしていたり、様々なサークルが奉仕活動や慈善事業などに参加していました。現地の学生に聞くと必ずと言っていいほど皆何かしらのボランティア活動に参加していたので驚きました。日本で一度もボランティア活動に参加したことない私にとってはそれがとても新鮮でした。難民救済のための募金してほしいと声をかけてきた学生に、なぜボランティアに参加しているのかを尋ねたら、「今、自分にできることをしたいから!」という答えが返ってきて、何もしていない自分を振り返るきっかけになりました。

 

2.勉強も遊びも一生懸命な学生たち

現地の学生は勉強も遊びも一生懸命している印象を受けました。大学の中にはもちろん図書館があり、夜遅くまで勉強している学生がたくさんいます。その光景は日本の大学でも見られるでしょうが、驚いたのは学内にバーやビリヤード場があったことです。学生たちは、勉強の合間にそういった場所で息抜きをしながら友人との交流を楽しんでいるようでした。日本の大学では見たことのなかったその光景に本当に驚きました。私も学内のそういった場所にも友人たちと行き、つたないなりに英語で日本の学生生活について現地学生と話をし、お互いの大学生活の違いを面白いねと話し合ったものです。

 

その他、大学以外では、日本語サークルの学生たちに誘われて、一緒にボーリングやスケートにも行きました。スケート場で当時流行っていたヒット曲がかかりだすと、スケートをしているお客さんたちが一斉にサビの部分でこぶしを突き上げ大合唱!知らない人同士で盛り上がるその一体感に衝撃を受けました。

 

イギリス人は日本人の私から見ると、自分の気持ちに正直に、やりたいことを一生懸命している印象を受けました。そんなイギリスの人たちともっと一緒に過ごしたいと思っているうちに、1か月はあっという間に過ぎ、日本に帰国することになります。その頃には、次は長期留学でイギリスに戻ってきたいという目標ができていました。社会人になり数年働いた後にそれは実現します。初めての海外がたまたまイギリスだったことからイギリスが好きになり、その後何度もイギリスを訪れることになるなんてこの時は思いもしませんでした。チャンスがあれば何でも挑戦してみることは大事ですね。

 

 

(写真:ストラットフォード・アポン・エイヴォンにあるシェークスピアの生家前にて)

 

島根大学 英語コミュニケーション講座講師 Cathy