日本で生活していると、日常的にいつも英語を使うわけではないので、自分の英語力のbrush upのために、ted talk (ted.com)を見たりする。その中のお気に入りの一つがプロのインタビュアーの女性による”10 ways to have to have better conversations”だ。

 

彼女が一番大切というのは、”listen”。 

 

会話をする、コミュニケーションを取ると聞くと、どれだけうまく話ができるということに気が行きがちだ。あの人は話がうまい、あの人はうまく自分を見せることができる、と。それはそれで確かに必要な能力だろう。しかし、会話は双方向であり、自分だけ話していれば会話は成立しない。相手の話を聞くことにより、より会話を楽しむことができ、相手と深いコミュニケーションが取れる。相手の話を聞いていなければ、何と返していいかわからない。会話は相手がいてこそ成り立つ。

 

当たり前じゃない、と思うかもしれない。でも、私たちはこれを母語の日本語でやれているだろうか。全部言わなくてわかってくれるし、全部真剣に聞かなくてもわかるし、と思って、どこか上の空になってはいないだろうか。分かり合えることが当たり前と思いすぎてないだろうか。

 

これが外国語になると話は違う。講座の中で講座生が大好きなSpeak-Outのコーナーでは、お互い自分の英語力を駆使して英語で会話をする。相手が言いたいことを理解しようといつもより注意を払い、相手の話に耳を傾ける。そして相手に伝えようと、知っている限りの英語を尽くし、ジェスチャーや表情を駆使する。まさにコミュニケーションの基礎を実演しているのだ。

 

英語をぺらぺら話している人を見て、あんなふうに話せたらいいなと思うかもしれない。でもよく見てほしい。その人は本当に伝えたいことをしっかり伝えようとしているのか。その人は話し相手からの返答をしっかり聞いて話しているのか。良いコミュニケーションは良い人間関係をもたらしてくれる。それこそが関係が希薄になりがちな人間社会で一番必要じゃないかと思う。

 

Listen:聞くだけでなく、聴いてみよう。そして会話を楽しんでみよう。

 

家族で会話、お互いにListen!ロット川沿いでランチ

2019年8月。Cassenueil, Franceにて

 

香川大学 英語コミュニケーション講座 担当講師

Emma