みなさんは野菜を自分で育ててみたことがありますか?
トマトなどの野菜を自分で育ててみると、スーパーで売っているトマトのようにみんな同じ大きさで同じ色で同じ形には育たないことがわかります。形も色も大きさも全部違っていて、でも格別に美味しいですよね。
一年間の英語講座を通してご一緒させてもらった講師の私からはみなさんは畑で育つトマトのようでした。(ちなみに私はトマトが大好きです!)
一年前に比べて英語力がとても身についたと実感している人、友達と比べるとそんなに上達したとは思えない人、講座の中で出来たことへの嬉しさや出来なかったことへの後悔やさまざまだと思います。
私たちはひとりひとり違う道を歩んでいます。
成長の仕方や方向、スピード、それぞれが違うのは当然なのです。
当講座は今までみなさんが学校で経験した勉強とはとても違っていましたね。今まで学校でしてきた勉強は先生から教えられた事を暗記して、その暗記した事をくり返す勉強でした。
当講座では講師やリーダーサポーターはみなさんに何かを教えることはしませんでした。じゃあ講師やリーダーサポーターはみなさんに何をしたのでしょうか?
私たちがみなさんにしたのは「自信の種」を植えることです。
みなさんが講座の色んなコーナーで英語で考えたり話したりアクティビティを楽しんだりする間に「英語でこんな事ができた」「英語を20分も使い続けた」という経験をし、最後には「みんなの前で何の準備もなしにスピーチまでできた」という「自信の種」です。
その「自信の種」は英語に関しての自信だけではありませんね。
「話したことのない人にアイコンタクトだけで話しかけた」
「自分の意見をはっきり言えた」
「はっきりと断ることができた」
今までになかったような大胆な事をやってのけた経験もたくさんあったと思います。
みなさん全員の中に植えられた「自信の種」から出た芽が、どんどん伸びていって大きく実るのはこれからなのです。
そして皆さんのその「自信の種」を育てていく環境である英語コミュニケーションもまた有機物です。フレーズを暗記したからいつでもどこでも誰にでも使える、とは限らない。太陽の光や水や土の性質によってトマトの成長が変わってくるように、相手や場所や皆さんのそれぞれの資質でどんどん変化するのが英語コミュニケーションの面白さであり人生の楽しさなのです。
これからみなさんの「自信の種」がどんな実りを遂げるのでしょうか。それは青い固いトマトでも構わないし、トマトの種を植えたのにキュウリがなっても全然構わないのです。長い人生をかけて世界にひとつしかないような自分だけの実をどうぞ育てて下さい。
でもその種に水や太陽の光や土の栄養を与え続けることをどうぞ忘れずに!
広島大学 英語コミュニケーション講座 担当講師
Mack