日本の大学を卒業後、私はアメリカの大学院への進学が決まってすぐにアメリカに渡りました。

 

それまでにも英語は日本で勉強していたし、海外旅行の経験もあったし、それに外国のお友達もたくさんいたつもりでした。それでも実際にアメリカという国で生活する、というのはそれまでには味わったことのない新しい発見の日々でした。

 

中でも私にとって一番の「目から鱗」体験だったのは、日々出会う人たちの思う「常識」と私のそれが同じではないことでした。

 

「こんなの知ってて当たり前」

「これは常識」

 

そんな言葉をたくさん浴びて日本で育った私が、自分の信じる常識を持っていざアメリカで生活を始めてみると「私が思う常識」がまかり通らない世界がそこにはあったのです。

 

こんなことがありました。

大学の期末試験期間中のある日、同じクラスの男性が手ぶらで教室に入ってきました。彼が持参したのは胸ポケットにある鉛筆一本(頭に消しゴムがついてるタイプ)のみ。

 

私はそれをみて本当にびっくりしたのです。

 

「試験の日にはギリギリまで教科書やノートが見れるように教室に持参するのが当たり前」

「筆記用具は筆箱に入れて持ち歩くのが当然」

「筆記用具は万が一、鉛筆やシャーペンが書けなくなっても大丈夫なように余分に何本か持っておくのが、常識」

 

だと思い込んで生きてきた私にとって、彼の行動にただただ、驚いた私。

 

でも後日そのことを振り返ってみたら「鉛筆一本さえあれば試験は受けられる」という彼のアプローチに納得しました。私自身が信じ込んでいた「常識」にがんじがらめになっていたんだと気づいたのです。衝撃的でしたが、この頃から私自身の考え方も変わり始め、自分の「常識」から解放されて生きて行くようになりました。

 

アメリカのような移民を多く受け入れる国ではそれぞれの人が母国の「常識」を大なり小なり抱えながら生活しています。その人たちと協調して生きて行くためには、いかにコミュニケーションが大事か、というのもこの時に学びました。

 

英語コミュニケーション講座では、この「コミュニケーション」を学んでいただくことを大切にしています。講座内では異文化体験も学習していただきますが、これらは異文化の中でも "the tip on the iceberg"に過ぎません。異文化に飛び込んで、実体験を積んでくださる方がたくさんこの講座から出ることを願っています。

 

写真 thanks to:  clipartmax.com

 
 

香川大学 英語コミュニケーション講座 担当講師

Shelly