元マイクロソフト副社長の西和彦氏がこれから設立する理系大学の学生選びについてコラムの中で次のように語っていた。評価軸は3つあり、1つ目は専門性、2つ目は人間性。チームワークの多いエンジニアとして活躍できるかどうかを見るそうだ。そして、3つ目は、国際性。その説明に、英語力や、異文化に対する理解があるか、とあった。西氏ご自身が海外で活躍されたからこそ、異文化に対する理解があるかどうかを国際性の条件に入れられたと容易に推測できる。

 

 当社の英語コミュニケーション講座の中で、英語を日本語に置き換えたり日本語を英語に置き換えたりする英語力だけでは、コミュニケーションは円滑に進まないだけでなく、誤解を招くこともあり人間関係に齟齬が起きるということを何度も話している。母語で話をする場合、習慣や慣習などを含む文化が語る内容に含まれることが多いために、日本語をそのまま英語に訳してしまっては、その「文化」の知識や見識が異なるために、話の内容を理解してもらえなかったり、誤解を招くこともある。もちろん、話をする内容だけでなく、会話などの場における態度なども異文化に含まれます。それらを含めて、日本以外のところでは、異なる習慣や慣習があるということ、そして、どちらが正しいとか間違っているという判断基準では測れないということを理解しておかなければならない。それが、西和彦氏が言われる「異文化に対する理解があるかどうか」ということだろう。


 グローバルに活躍するための全ての文化を理解しておく必要があるということではなく、世界には日本とは異なる文化があるということ、日本の文化を軸に考えないこと、異なることに遭遇した場合それらを受容する柔軟な心を持つことが求められる。


 講座で英語圏の文化に触れることで、世界には日本と異なる文化があるということを理解する糸口としてください。そして、それらは日本の文化とは異なるもので、優劣をつけられるものではないこと。そして、世界の他の文化に興味を持つきっかけとなるように願っています。 

 

日本経済新聞2021年11月12日付より 

「教育岩盤 元マイクロソフト副社長 西和彦氏」

 

鈴木カオル