大学に入学が決まった頃、皆さんは「大学生だし、英語ぐらいはスラスラと話せるようになっておきたいな」という希望は持っておられましたか。英語は得意じゃないけど、話せるようにはなりたいよねー、そんな声を大学生の方からよく伺います。
「英語ぐらいはできないと」というのは私が学生の頃から言われていたので、決して昨日今日言われ出したことではありません。むしろ最近は、AIが翻訳をしてくれるから語学なんて勉強しなくても大丈夫、なんていう声も聞かれます。
AIがあれば私たちは意思疎通ができるから安心していいのでしょうか?
苦労して英語を勉強するなんて時間の無駄なのでしょうか?
私はそうは思いません。
語学の勉強は言葉から言葉への翻訳以外の部分が大きくコミュニケーションに影響するため、私たち自身が自らの言葉で意思疎通を図ろうとすることが、今まで以上に大事になってくると確信しています。
私たちが言語を使ってコミュニケーションを取る時には、言語で表現されるもの以外の非言語のコミュニケーションも発生します。それは皆さんの顔の表情だったり、体や手の動かし方、服装など、全てがコミュニケーションの一部になりうるのです。そのこれら全てをAIが伝達することは・・・おそらく無理ですよね。少なくとも現在のAIの技術では。
また日本で「当たり前」の非言語コミュニケーションが海外のある場所では全く違う意味を持つ、ということもよくあります。例えば日本ではお辞儀をしますが、海外でお辞儀をいつもしていたら不思議に思われたり、「日本人ってお辞儀が好きなんだねー」と少し揶揄われることがあるかもしれません。
これはわかりやすい一例ですが、私たちが意図せず違うコミュニケーションサインを送る、ということはあります。それを踏まえて、語学だけでなく話し相手の文化を理解し配慮することがとても大切なのです。
国連加盟国が2030年までに達成を目指す持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs) があります。
これらの実現には相手を思いやりながらコミュニケーションを取るということがその根底にあります。英語で取るコミュニケーションについて深く理解する大学生の方が増えて欲しいと願っています。
香川大学 英語コミュニケーション講座 講師 Shelly