講座の中で「20年後の私」について書いてもらっていた時期がある。最近は授業中は時間がなくこの課題を出していないが、テキストの一つに「未来の自分と語ろう!」という項目を設けて書いてもらっている。

 

「20年後の私」について書いてもらっている頃この課題を出すと多くの受講生から、「え~、20年後なんて考えてない」「そんな先のこと考えられない!」「卒業後の仕事だって考えていないのに!」っていう声が聞こえてきた。もちろん、そうだろう。それでいいと思う。

 

ここで大切なのは、想定すること。そして、その想定に従って、「10年後のあなたはそのためにどこで、何をしていますか?」、次に「5年後のあなたはそのためにどこで、何をしていますか?」そして、最後に「5年後のあなたになるために今から何をしますか?」という質問に答えていくこと。これの組み立てができることが重要なのだ。もちろん、想定がもっと具体的な「夢」「希望」に変われば、また書き換えればよい。

 

大切な理由は2つ。これをすることで、「あの時にあれをしていればよかった」という可能性を少しでも減らすことができる。そして、段階的に目標を設定することができるので、計画を立てることができるようになる。

 

何年か前に「総理大臣になる」「ノーベル賞を受賞する」という「20年後の私」を書いた学生がいた。一人は石油業界に入った。もう一人は物理の世界から舞台を経済へ変えて活躍している。これらが彼らの想定内なのか想定外なのかはわからないし、20年後にどうなっているのもわからない。

 

この想定する力は、今回のようにCovid-19で生活や世界が一変した時に大いに役に立ってくれる。最後の質問の「5年後のあなたになるために今から何をしますか?」だけを修正すればいいのだ。「5年後のあなたになる方法は一つだけではないはず」。少々遠回りする道もあれば、後ろから回り込む道もあるはず。山登りのように考えれば、頂上に行き着く道は一つではないことがわかる。その柔軟性や起点が重要。そうすれば、今日をこの一年を無駄に過ごさないくてもいいし、後で後悔をする必要もない。


この「20年後の私」を考える時に、「英語」や「コミュニケーション」を念頭に置く必要はない。必ずどこかでどちらか一方には結びつくはず。でも、もし英語があなたの20年後に関係していなくても大丈夫。世の中には想定外のこともたくさん起こるし、今のあなたが気づいていないこともたくさんこれから起こりうるからだ。それと、今は想定できなくても、「英語」や「コミュニケーション」があなたの生活や人生を豊かにしてくれるということを私は確信している。
Good luck, everyone!

 

20年後、あなたの人生の旅はどこへ向かっているだろうか。

 

鈴木カオル