2020年の異文化コミュニケーション講座も終わりに近づいてきました。みなさんはそれぞれ一年間のこの講座を通してどんな学びを得てどんな成長と遂げたと感じていますか?

 

この講座では一年を通して異文化を学び理解し英語コミュニケーションを図ることのできる人間になることを目指して学んできましたが、コミュニケーションにとても重要なことは何だったでしょうか?異なる文化背景や考え方、意見の違いを知ること?英語のスムーズなスピーディーな活用方法?日本的なコミュニケーションの癖から自由になって英語スイッチでコミュニケーションを図ること?もちろん全部ですね。

 

もうひとつ我々日本人が見落としがちで、なおかつとても不得意な事があると私は思います。それは自分自身について深く知り、自分自身について語る能力です。

 

私の娘が通った英国のカリキュラムの学校では幼稚園の頃から’Show and Tell’というコーナーが朝の時間に設けられていて毎朝一人の生徒が自分のお気に入りのおもちゃや本をみんなの前に立って披露します。そしてそのおもちゃを誰にもらったのか、自分がどうしてそのおもちゃを好きなのか、どんな風に遊ぶのかをみんなに説明するのです。

 

そんな風に小さい頃から自分について語る練習をして育った子供たちは自分の気持ちや意見に誇りを持つと同時にその気持ちや意見が尊重される権利も知って育ちます。

 

日本社会では個の「私」よりも社会に属する一部である「私」の役割に重点が置かれがちで、個の「私」について声高に語ったり主張したりすることをあまり良しとしない文化です。その為でしょうか、自分自身について考える事を普段からしない日本人がとても多いと感じます。

 

けれど考えても見て下さい。自分の気持ちを理解し尊重できない人間がどうやって他人の気持ちを理解し尊重できるでしょうか?自分の意見を知らないのにどうやって相手との意見の違いを認めて話し合って歩み寄ることができるでしょうか?自分の意見が尊重される権利を知っているからこそ相手の意見も尊重すべきことを知ることができるのです。

 

すべては自分を知ること、自分を尊重し誇りをもって気持ちや意見を主張できる事から始まるのだと思います。

 

それは自分の国や文化についても同じことが言えますね。自分の育った国や文化をよく知ることで初めて外国との違いを認めることができるし、自分の文化や国を大切に思うからこそ相手の文化や国を大切に思う気持ちを理解できるのです。

 

個の「私」としてのみなさんがそれぞれとても素晴らしい人間性や才能の可能性を持っているのと同じように、必ず自分の国や文化にも素晴らしい面が見つかります。

 

コロナで外国との行き来やコミュニケーションが制約されている今の間に、自分について自分の国や文化について語れるようにぜひ練習して下さい。そしてまた行き来が始まって今まで以上にグローバル化が再開した時にその成果を発揮して下さい。

 

外国の友達がたくさんできること間違いなしです。自分と違う意見や物の見方、自分の知らない世界を発見することほど面白い楽しい事は人生にはありませんから!

 

 

2014年ブルネイのインターナショナルスクールにて。自分のアート作品を持って得意顔の長女。

 

⭐︎ 広島大学 英語コミュニケーション講座担当講師

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