初めての大学の夏休み、みなさんはどんな事を考えて過ごしていますか?頑張って受験を乗り越えてやっと夢見た大学生活が始まった矢先に、コロナで世界が一変してしまいましたね。それでなくてもAIの発達、気候変動などでどんどん世の中が変わっていくと既に予言されていたし、世界のあちこちで不穏な動きが大きなうねりになりつつあったところに、いきなり変化のスピードが倍速になってしまいましたね。今までの常識がまったく通用しない世界になってしまうとすら言われています。
ここで考えてみましょう。英語を学ぶことが本当に必要なのでしょうか?AIの翻訳機能がどんどん発達すれば英語を話す必要なんてなくなるのではないでしょうか?ソーシャルディスタンスで何もかもがオンラインになってしまいました。もう人との関わりなんて必要なくなるんではないでしょうか?じゃあこの英語講座も必要ないんじゃないの?
そんなことはありません。それどころかこの講座こそ、これからの世界に一番必要なものを身につける場所なのだと私は今感じています。
今までと同じ英語の勉強だけならこれで終わります。
A: Hello. My name is Bill Brown. I am a student. I like cats. I hate dogs.
けれどコミュニケーションはこうです。
A: I like cats. How about you? Do you like cats?
B: No, I prefer dogs. But cats can be cute.
A: Oh, I don’t like dogs too much because I’m scared of them.
B: Really? Dogs are friendly.
コミュニケーションとは自分の意見をはっきり言えると同時に相手の意見に耳を傾けること。自分と相手の意見や立場、背景の違いを理解しながらお互いの距離を縮めていくこと、なのです。
今の世界を見ていると、人々は不安に駆られて疑心暗鬼になって自分のことしか考えられなくなってしまっているようです。あるいは無力感から発言することも行動することもできない人も。立場の弱い住人の声はますますかき消されていくようだし「私はこう思う!」と大きな声で言う人はたちまち中傷の嵐に晒される。
I like cats! と大きな声で言えない世界はいけない。
I hate dogs! I hate cats! とそれぞれが大声で怒鳴り合うだけの世界もいけない。
真のコミュニケーションスキルを身につけた若者がひとりでも増えれば、世の中はもっと良くなります。日本でも外国でもオンラインでもリアルでも人々が話し合えることができるようになれば、現在の世界の危機は乗り越えられる。
いよいよ後期講座が始まります。前期はアイコンタクトや顔の表情、Speedy Comprehensionなどで身につけた新しいスキルに慣れるのに精一杯でしたが、後期はもっと深く広いコミュニケーションスキルを使いこなす練習をします。異文化コミュニケーションの向こう岸にあるもの。みなさんがそのことを胸に抱いてまた10月に講座に臨んでくれたらうれしく思います。
2013年 家族3人でカンボジア、ラオス、ベトナム旅行中
ラオスのルアンパバーンにてメコン川の渡し船を体験
☆広島大学 コミュニケーション講座 担当講師
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