今日ご来店いただいたお客様がこうおっしゃってくださいました。


「スーパーマーケットに入っているお直し屋さんに持っていく勇気がなくて、、」
お客様からのご依頼はカシミアの黒のロングコート。
20年程前にご購入のそのお品は、かなりの金額だったはず。
「失敗して欲しくないから」と、トレにご依頼いただきました。
そう思ってくださるのは本当に嬉しい。
でも、はっきり言って技術はきっと彼らの方が上です。
では、何が違うのか?

私は、あくまでも「ご着用いただけるデザイン」にすることに集中します。

なので、「丈はどれぐらい切りますか?」とはほとんど聞きません。

今回も、お客様からのご希望の着丈を20cm以上長くしました。
ウエストから下に三角マチが5つも入ったフレアーロングコートをショートにしてしまうのはもったいない。
「黒のショート丈はお持ちですか?」と伺うと、「持っている」とのこと。
だったら黒のロングは喪服にも使えるので絶対必要。かと言って、また買ったとしてもそれほど出番はなさそう。
ならば、パンツでも、スカートでも合わせやすい着丈に変更することをご提案。
ショールカラーの衿は「子どもっぽくて顔に合わない」とのことだったので、スタンドカラーに変更。
三角マチから出てくるフレアーの綺麗なバックスタイルを強調させるために、後ろのウエスト周りの切り替えを少し上げて深くしました。

トレは、もともとのデザイン、その方の生活パターン、体系などを考慮した上で、私からご提案する形がほとんど。

トレは、補正、リメイク、セレクト販売という3つの形から成り立ちます。

これはトレにとって重要なこと。

いま、最も必要とされるデザインを見極められることは、バイヤーとして商品仕入をする上で絶対に必要な条件です。

そして、補正をしていることで顧客様たちのサイズ感を明確に把握し、リメイクで、求められるデザインが明確になります。

日々、商品を販売しながらの補正やリメイクは、トレにとって欠かせないことなのです。

そして、ご支持を受けているのは、きっとこんな不思議な店だから



すべてを網羅するのは、物理的に本当に難しいのですが、トレはこのスタンスを貫きたいと思っています。



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