【小さな窓の家4】




来年から建築物省エネ法が施行されます。

今までは特定の用途の建築やある程度の大きさ以上の建築のみに義務化されていた省エネ化が普通の住宅でもやらなくてはならなくなります。



しょうがないですね、
何しろこの異常気象、
先進国は率先して脱炭素カーボンニュートラルを進めなければなりません。
 



結局のところ、
そのために家の窓が小さくなっている、
ということなのかもしれません。

外壁や屋根などに比べると、
いくら高性能になってきたとはいえ窓サッシ断熱性能が劣ります。

ようするに、
窓が小さければ家のエネルギーロスが少なくなるという理屈です。

そうやって断熱等級省エネ等級を必要以上に上げれば上げるほど住宅減税補助金の恩恵が受けやすくなるわけです。

 


ただ、
本来のその家のためにはそんなに必要ではない?

でも、
地球環境のためには必要なことなのです。



そしてさらにもう一つ、
防火設備です。



窓サッシというと、
5年ほど前に防火設備の認定方法が似たような構造の物をまとめて認定する通則認定から1つ1つ別々に認定する個別認定に変わりました。

以来、
防火設備サッシの価格は暴騰しています。
信じられないくらいに・・



防火設備というのは、
窓などの外部開口部であるサッシなどで、
防火や準防火などの地域内で敷地境界からの離隔距離によって開口部は防火設備にしなければならないと建築基準法で定められているサッシです。

 

見たことあると思うのですが、

窓のガラスに網の鉄線が入っているサッシありますよね、

あれが入っているサッシは全て防火設備です。

 

 

ただ、

昨今は網の入っていない防火ガラスも多くなりましたので、

見た目は普通のサッシとまったく変わらなくなってきました。

 

 


住宅でも防火地域や準防火地域内などで、
つまり市街地で敷地境界から近い所にある開口部はほぼこの防火設備にしなければならなくなります。

この防火設備の認定方法を国が変えた、
サッシメーカーがつくっているサッシは様々な種類や性能や形や開き方など何百どころか何千種下手したら何万とあります。
それを1つ1つ認定を取らなければならない個別認定に変えたわけです。

膨大な量です。

メーカーは全部試験をして申請をして認定を受けないと売ることが出来ません。

なので防火設備のサッシというのは値段が一般サッシの何倍もするようになりました。



一般サッシ防火設備サッシ
見た目はまったく同じです。
が、
値段はまるで違います。



なので、
防火設備のサッシはできる限りなしにしたい、
できる限り小さくしたい、

 

 

と、
考える人が多い、
ちゅうか、
そうしないと家の値段が跳ね上がる。

だって、
冗談みたいに高価だから。



先日、
某所でサイズが特注にはなるのですが、
ただの親子扉高断熱防火設備サッシを設計に入れたんですけど、
見積価格が85万円でした。

ひっくり返りそうになりましたね。
サッシ1本で車一台買えそうです。

まあ、
特注サイズではあるんですけど。
一般サッシで特注サイズでなければ10万円しますかね。



サッシメーカーでは全ての認定を取ることは時間的にも金銭的にも不可能。
なので、
シリーズや性能などによって開け方や構造などある物とない物をわけています。
このシリーズではこの開け方のサッシはありますが、
この開き方のサッシはありません、
ということです。

それがメーカーによって大きく違います。



防火設備の場合は確認申請の際にその防火設備の認定番号を1つ1つ定めて出さなければなりません。

そこで、
設計の際にこのメーカーのサッシでと仮に性能や開け方などを決めて申請します。が、
現場が始まりサッシ業者さんが決まるとメーカーは当然変わります。

 


すると、
その開け方の防火設備サッシはそのメーカーにはない、
そのサイズの防火設備サッシはそのメーカーにはない、
その価格ではその性能の防火設備サッシはない、

なんてことは毎日当たり前になっています。
なので毎度毎度変更申請をします。



本当に、
馬鹿馬鹿しい・・
何やってんだか意味わからん・・



住宅メーカー以外では確認申請前にサッシメーカーが決まっていることなど、
絶対にありません。

サッシメーカーは見積もりして決めるんだから。

 

 

見積もりするには設計図が必要なんだから。
その設計でサッシの形から性能からメーカーまで全て決めろって言ってるんです。

結局、
国としては住宅メーカーだけが損しなければ後はどうでも良いのでしょうね。



まだまだ続きます。



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