【真北測定4】
ず~っと昔の若かりし頃の話です。
そんな真北測量は若い私たちの仕事でした。
まあ、
それだけじゃなくて高低測量とか現況測量とかそんな体力仕事は若者の仕事だったのです。
何しろ、
敷地というのは何も真っ直ぐ平らな宅地ばかりではありません。
山あり谷あり、
雑木林に藪あり、
川あり水路あり、
崖あり絶壁あり、
下手したら海まであります。
藪漕ぎしながら突き進み邪魔な草や雑木などをバッタバッタとなぎ倒しながら進みます。
なんてのはちょっと大げさですが、
本当にそれに近いことも多々あるのです。
なので、
師匠や上司達は行きたがらないのです。
ま、
まさに今の私のようになのですが。
それでも若い私たちは仕事で外に出かけることなんてまだまだほとんどありませんから行くとなると嬉しくて仕方が無いのです。
まあ、
お客さんとの打ち合わせとかお役所との折衝とかまだまだ無理ですから、
私たち若造が外に出ると言えば、
師匠や上司の車の運転手か、
夜食なんかの買い出しに行くくらいのもんです。
今だと、
きっとパワハラとか言われるんでしょうね・・
「運転手やるために大学でたんじゃありません!」
とか言われてやめちゃうんでしょうね。
廻りにそんな話ゴロゴロしてますもんね。
じゃあ何ができるんだよお前・・
じゃあ誰が夜食買いに行くんだよ・・
運転手してると車の中で師匠と1対1でいろいろ話が出来るんですけどね、
そんなの事務所じゃ無理ですもんね。
お客さんと直接顔見知りになれるんですけどね、
あ、
会いたくないのか誰にも・・
相手がいないもんね、
お客様なんだけどね。
ま、
そんな話は置いといて、
毎日毎日事務所でただひたすら図面を描かされる私たち。
鬱屈してきます。
溜まってきます。
あ~
太陽の光を浴びたい!
ってなってきます。
で、
上司が「誰か測量に・・」
なんて言いかけると、
「はいっ!行きます行きます!」
取り合いです。
外に出たくてしょうがないのです。
では、
「行ってきます!」
すると後ろから上司が、
「ちょっと待て~今日は曇りだぞ~明日でいいんじゃないか~?」
いや~
聞こえない聞こえない。
行っちゃおう行っちゃおう!
行くぞ~!
と先輩が。
で、
現地で晴れるのを待つのです。
正午前後に影がくっきり出ないと真北測定は出来ません。
1時間、2時間、
その間遊んでいやいや待ってます、喫茶店とか行って。
ああ、
もう今日は無理だな・・
出来ずに帰ってきて上司に出来ませんでしたと。
すると、
「ぶぁっかやろう!だから言っただろう!」
と当然怒られるのです。
今なら速攻でなんとか委員会かなんかに訴えるんでしょうね、
パワハラされましたって。
きっと・・
ただまあ、
半分こっちは怒られることわかってやってることですので、
確信犯です。
翌日以降晴れた日に再び測量に出かけます。
2日外に出られる・・
晴れればラッキー駄目ならもう1日出かけられる。
これ、
今だから言いますけど、
けっこうよく使った手です。
私?
いやいや先輩が・・
いや~
本当に悪知恵が働きます。
ただ、
だからと言って担当する図面が減るわけじゃないのでその分残業が増えるだけで帰りが午前様になり事務所にお泊まりになるだけなんですけどね。
それでも外に出たかった。
のです。
あ、
今なら働き方改革とかでどんなに仕事残ってても、
さいなら~って5時で帰れるそうですが。
帰れるって言うか帰らなきゃいけないんだそうですが。
その分管理職の上司が全部やってるんですけど・・
ま、
つまり、
私達ですが。
彼らが管理職になったらどうなるんでしょうね?
きっと会社潰れるんでしょうね。
私たちはその頃には引退してますからいいんですけど、
これで良いんでしょうかね~?
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