【お客様は神様です10】



そんな竣工写真なんですが、

それでも新築の場合はなんとかやりくりして、

天気のよい日には一日張り付いて、
工事のトラックが出て行った瞬間を狙ったり、
クリーニングが終わった部屋から順番に撮影したり、
そんな涙ぐましい努力をすれば、
撮れないことはないのです。

 

 

 


まあ連日雨!
なんてなるともうどうしようもないのですが。



実は、
もっとどうしようもなくなるのが、
リフォーム・リノベーションなのです。



リフォームやリノベーションについてはこちらをどうぞ。

 

 

 



それも、
お住まいになりながら工事を行うリフォーム・リノベーション

こればかりはもうどうにもなりません。
なのでお客さんには最初から言います。
竣工写真はなしでお願いしますと・・。
 



大がかりなフルリノベーションの場合はまずお客さんにはどちらかの仮住まいに移っていただきますので、
この場合は新築と同様でそう問題はありません。

問題なのはその家にお住まいになったまま行うリフォームリノベーション

問題?っちゅうのも何だか変ですが?
まあようするに、
竣工写真はまず撮れません。
 

 


とあるお宅のリノベーションを行った時のことです。
元々トイレと洗面所が2つあるお宅だったのでお住まいのまま工事をしたいというご要望でした。

そこで半分ずつ工事を行うことにしたわけです。
お宅の半分にまず家具など荷物を移動してそちら側を工事して、
そちら側が完成したらそこに家具など荷物をまた移動して残りの半分を工事します。

トイレと洗面所は2つのうちのどちらかが使えるようにしておいて、
キッチンの工事の間はお食事は外食にしてもらい、
お風呂の工事の間は銭湯などに行ってもらう、
そのように工事は行われます。
 

 



リノベーション工事の場合にはよくやる工事方法で、
この方法だとそこにお住まいになったまま工事が出来ます

もちろん工事はあぶないので小さなお子様なんかがいらっしゃる場合などはお断りすることもありますが、
今回はこの方法で行うことになりました。



お客さんは毎日が楽しくってしょうがなかったようです。



まあ、
そうでしょうね、
毎日目の前で我が家が出来ていくのを見てるんですから。

配管ってこんなのが壁や床の中にあるんだ!
昨日はただの板だった壁が綺麗なクロスになった!
今日は何もなかった部屋に便器がついていた!

毎日帰宅するたびにいろんな所が少しづつ出来上がっていくわけですから、
うれしくないわけがないでしょう。



それで完成は間近です。

 


 


お客さんは言います。
せんせい!
うちの写真もホームページとか雑誌とかにのせてくれますか?

そこで、
ありがとうございます。
喜んでのせさせていただきますね。
と。

竣工写真撮らせてくださいねと、
いついつと日を決めて、
その日に撮影しますねと。



がその当日、
竣工写真・・・・・・・
撮れません。




なんでって?



だってあっという間に住んじゃってるから。
完成して形が出来たその瞬間からもう家具やら何やらもどって住んでいます。

お客さん、
夜工事のみなが帰ってしまうと、
出来たところからせっせせっせと毎夜毎夜荷物を戻します
 



そして竣工前、
現場監督すら知らないうちに、
夕方工事のみなが帰宅した後、
夜のうちお客さんはせっせと家具から何から戻したんです。

食卓を戻してお皿を並べてご飯を食べて、
TVを戻してつないで映画見て、
ソファーを戻してそこで寝たそうです。
もう、うれしくてうれしくて。



現場監督が朝来ると、
翌日にはすっかり住んじゃってる!
まだクリーニングもしていないのに。



あれだけ言ったじゃない、
荷物戻すのはクリーニングして竣工写真撮ってからにしてって。
この日は写真撮るからねって。



まあ、
無理もないのですが。
馬の目の前ににんじんぶら下げて食うなと言ってるようなもんですから。
何しろ毎日目の前で見てますので。

我慢ならなかったのでしょう。



現場監督にしてみたらラッキー!ってなもんです。
だってもうクリーニングしようがありませんから、
やらずに済んじゃいますので儲かります。
 



なので、
竣工写真が撮れません
撮れたのは言ってみれば家族写真ご家庭写真。

インテリア雑誌なんかのお客さんご夫婦が綺麗な服着て絶対に一度も使っていない妙に綺麗なキッチンでにっこり笑ってるなんていう写真なら良いのかもしれませんが、
残念なことにこれは竣工写真です。



というようなことが、
お住まいのまま行うリフォーム・リノベーションの場合は100%に近くおこります。



なので今ではこういう工事の場合は竣工写真はできませんと、
最初から言うことにしているわけです。

だってお子さんの写真がずらっと並んだニッチの写真とか、
調味料の瓶やお菓子の袋なんかが並んでるキッチンやダイニングの写真とか、
ご主人の寝た後の布団がそのままのリビングの写真とか、
絶対にホームページや施工例なんかには使えませんから。
全部は・・
 

 



きっとなんでうちはホームページにのせてくれないんだ!
なんて怒ってんだろうな~。
 

 


 

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