こんな建築が造りたい!




「憧れの建築家」といえば、忘れられない建築家がもう二人ほどいます。




一人は丹下健三さん、もう一人は黒川紀章さん。


黒川紀章さんについては次回書くことにして、今日は丹下健三さんについて書こうかと思います。




丹下健三さんといえば、誰でも思い浮かぶのは悪名高き東京都庁舎!・・かにあの頃の建物は私もあんまり好きじゃありません。


ですから、「憧れの建築家」には出てこなかったんですけど・・。




でももっともっと昔、それも東京オリンピックとか大阪万博の頃の丹下健三さんの作品はそれはそれはもの凄い物だったんです、代々木の競技場とか広島平和記念公園とか、万博お祭り広場とか・・・。




学生の頃、仲間と東京建築ツアー(何度も言いますが、勝手に名前つけてるだけで、そんなツアー実際はありませんから)に行った時のことです。


そのツアーは、実は当時私の父が東京に単身赴任していたので、夏休みの間そこに転がり込んで、泊まらしてもらい、しかも食事は父にたかるという、我々のツアーとしてはそれはそれは豪勢な物でした。




いろいろと、ふーんとか、はーんとか言いながら当時最新の建物を見て歩き、いいかげんくたびれて来た時のことです。


仲間と次は目白通りの丹下健三さんの東京カテドラル聖マリア大聖堂に行こうとテコテコ歩いて行ったんです。


実は私、この東京カテドラル聖マリア大聖堂にはまったく期待していなかったんですね、何しろ起工したのが昭和35年、完成したのが昭和39年で私が生まれた頃ですから、当時としても随分古い建物だったからです。




外観を見て、「何じゃこりゃ!これが教会か?」なんて思ってると、修道女かなんかの人がどうぞって中を見学させてくれたんです。







入った瞬間、あっけにとられました。






なんだこれは!なんて空間なんだ!







私そこに何時間もそこに座ってましたよ。







装飾の類はいっさいありません。流れるような壁と天井のラインがあるだけ、でもなんていうか、建物が生きてる?みたいなそんな感じでしょうか?




宗教建築というものには、厳粛な荘厳な空間が必要です。言い換えればそれは、一種の洗脳空間です。信者の方々にそこに神がやって来ると思わせなければなりません。


入ってきた人が、はっとしたり、あっと驚いたり、すっごいと思わせることが必要です。


これは、ある意味建築家にとっては最もその能力を発揮できる建物ということになります。そしてそれは、逆に言うと最もその建築家の能力が見て取れる建物ともいえるんです。




当時の私は、大学でこれからの進路をどうするかで悩んでいた時期でした。


建築家にはなりたい、けど果たして本当にやって行けるのか?建築設計事務所に就職すると言うことは、当初数年は丁稚奉公で、給料なんてほとんど無し、しかもそっちに進んでしまうとつぶしがききません。




でもね、そこで思ったんです。




いつかこんな建物が造りたい!ってね。




そして、今の私があるわけです。




皆さん東京に行ったら是非一度東京カテドラル聖マリア大聖堂を見てみてください。


都庁の悪評からか、最近の若い人は丹下健三さんの作品はあまり好きではないようですが、むしろ今でも世界の他の国々からの見学者が後を絶たないらしいです。


今は亡き丹下健三さんですが、日本でよりむしろ世界で認められた建築家です。





アトリエ繁建築設計事務所HP
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