憧れの建築家。
この商売をやってる人はみんな誰でも「憧れの建築家」なんてのがいます。
普通の若者達にとってのアイドルみたいなもんで、学生の頃や勤めだした頃なんかは、そんな「憧れの建築家」が建てた建物をどこまででも、それこそ日本中いやいや下手したら外国まで見に行ってしまいます。
ようするに「追っかけ」ってやつです。
この「憧れの建築家」っていうやつは、ようするに、その人が好きなんではなくて、その人が造る建物が好きだ・・ってことで、若い頃ですからその建物の実際の中身やなんかは解りゃしませんので、あくまでもイメージが好き・・格好いいなあってことなんです・・。
私は、この「追っかけ」をやっていない、やったことのない建築家を目指す人はあまり認められません。この追っかけは言ってみれば若者にとっては一つの「実物を見る」という勉強ですから、自分の信念があってそういうことをやらないのなら良いのですが、たいていはめんどくさいからそんなことせずに建築家になりたい・・、なんて奴が多いもんで・・。
かくいう私にも「憧れの建築家」ってのがいます。
1番はなんといっても村野藤吾さん。
有名なところでは、箱根プリンスホテルとか京都宝ヶ池プリンスホテルとか、名古屋ですと都ホテル名古屋とか丸栄百貨店なんかを造った人です。
もう随分前にお亡くなりになったんですが、曲線の使い方がもの凄くうまい人で、設計するとき設計図に曲線をフリーハンドで描いたなんて逸話が残っています。
なんか順番つけるのもへんなんですが、次は白井晟一さん 。
福岡の親和銀行とか渋谷の松濤美術舘なんかが有名です。
この方ももうお亡くなりになっていますが、石の使い方がとても上手な人で、この人の造った建物の石の切り方をすごくまねしたもんです。
それから谷口吉生さん。
この人は今でもお元気です。
山形の土門拳記念館が超有名です。他に葛西臨海水族園とか静岡の資生堂アートハウスとか豊田の豊田美術館なんかがありますね。
とてもスカッとした建物を造られる方で、大好きですね、こんな建物を造りたいものです。
そういえば、最近ニューヨークの新MOMA(ニューヨーク近代美術館)の設計をされて、完成しましたね、このあいだ高松宮殿下記念世界文化賞なんかも受賞されましたから、新聞で見た方もいらっしゃるでしょう、今豊田市美術館でその記念展をやってます。今度行ってこようと思ってます。
まだまだ「憧れの建築家」はいっぱいいるのですが、吉村順三さんとか槇文彦さんとか、外国だとまあやっぱりコルビジェやミース、サーリネン、フランクロイドライトとかボフィルとか・・・、書いてるときりがないのでこの辺にしておきます。
こういった人達は、一般の人達はたぶんほとんどご存じないと思いますが、建築業界では皆超有名ですから、YAHOOで検索なんかすると、名前をいれただけでずらーっと作品とかが出てきます。
そこで、これはどうゆうことかというと、我々の「あこがれの建築家」ってのはつまり・・こうゆうこの人が造ったような建物が造りたいってことにつながります。
調べていただけると解りますが、ここに出てきた建築家さん達は建築の学術的な分野分けはともかくとして、皆どちらかというとスカッとしたきっちりした建物を建てられる方達です。
つまり、私にアバンギャルドな建物や、突飛で派手な建物を依頼されても、出来ないことはありませんが、好きではありませんので、場合によってはお断りすることもある、ということです。
もっとも、建築を学んでいる頃とは違い、実際に自分で設計を行う今現在になると、たとえ相手が超有名建築家でこっちが無名建築家だとしても、その人に「憧れる」なんてことはあんまりなくなりますが・・。
「憧れの建築家」ってのはイコールその人の建物の好みでもあるわけです。
アトリエ繁建築設計事務所HP
http://homepage3.nifty.com/ateliershigeru/